×
目次

FL Studio 2024がリリース|音楽制作に新たな可能性をもたらす革新的アップデート

Author: sleepfreaks

制作の効率を高める主要なアップデート内容をまとめて紹介

FL Studioの新バージョン2024がリリースされました。
これまでの「FL Studio 21」から名前が変更され、年号に基づいた新しい名称となっています。

今回のアップデートでは、創造力を最大限に引き出し、音楽制作をよりスムーズに進めるための新機能が多数追加されています。
また、FL Studioの特徴である「生涯無料アップデート」ポリシーにより、既存ユーザーは無料で最新バージョンにアップデートすることが可能です。

ここでは、FL Studio 2024で追加された主要な新機能と、使用手順について解説します。

制作に直結する特典が付属する:FL Cloud

FL Studio 2024の最も注目すべき新機能の一つが、FL Cloudとの統合です。
FL Cloudは、FL Studioの機能を拡張するオンラインサービスで、基本機能は無料で利用できます。
さらに、より高度な機能はサブスクリプション形式で提供されています。

新バージョンでは、このFL Cloudがソフトウェアに直接統合され、音楽制作の利便性が大幅に向上しました。

FL Cloudにはサードパーティ製プラグインやオーディオサンプルの使用、AIマスタリングなど様々な要素が含まれますので、ここからは一つずつ紹介していきます。

多彩なプラグイン

FL Cloudの契約プランによって、最大65種類以上の追加プラグインにアクセスでき、音楽制作の可能性が大きく広がりました。

FL Studioの画面上部のメニューから「Tool」を開き、「Plugins…」を選択します。
または、「FL Cloud Plugins アプリケーション」からも同じ画面が開きます。

プラグイン一覧が表示されるので、インストールしたいプラグインの「install」をクリックします。
ダウンロードが開始され、完了すると「install」から「installed」の表示に変わります。

FL Studioの画面上部のメニューから「Option」を開き、「プラグイン管理」を選択します。

「プラグインをスキャン開始」をクリックし、インストールしたプラグインの読み込みを行います。

読み込みが完了したら、ブラウザの「PLUGINS」からインストールしたプラグインを探します。
インストールしたプラグインをチャンネルラックにドラッグ&ドロップするとプラグインが起動します。

豊富なサウンドライブラリ

サウンドライブラリも充実しています。
画面上部のメニューから「Tool」を開き、「Sounds」を選択します。
または、ブラウザの「SOUNDS」からもアクセスができます。

サウンドライブラリには「Discover/Sounds/Packs」の画面が用意されており、各画面からテキスト検索が可能です。
「Sounds/Packs」では、ジャンルや用途に応じたフィルター機能を使ってサウンドを絞り込むことができます。
どのサウンドも手軽に視聴でき、気に入ったものをダウンロードしたりお気に入りに登録することが可能です。
ダウンロードやお気に入りに登録したサウンドは、テキスト検索の上にある同じマークをクリックし、フィルター表示することもできます。

また、サウンドは、サウンド上で右クリックして表示される「Open/Edit in…」メニューから、様々な方法で取り込みが可能です。

「Open/Edit in…」をクリックし、次に表示されるメニューで「Open in new Slicex channel」を選択すると、サウンドがスライスされます。

「Open/Edit in…」をクリックし、次に表示されるメニューで「Edit in pitch corrector」を選択すると、サウンドのピッチやタイミングなどを調整できます。
ボーカルや楽器のピッチを変更したい場合に便利です。

「Open/Edit in…」をクリックし、次に表示されるメニューで「Edit in audio editor」を選択すると、サウンドの波形編集を行うことができます。
サウンドの切り取り、コピー、ペースト、エフェクトの適用、ノイズ除去などが可能です。

主要な取り込み方法を挙げましたが、このように用途に応じてサウンドを取り込むことで、制作ワークフローが効率化され、アイデアを迅速に形にすることができます。

FL Cloudの価格

このようにFL Studioでの楽曲制作の利便性や可能性を高めてくれるFL Cloudですが、契約プランが3種類用意されており、それぞれで受けられる特典は異なります。

また、有料のプランであっても1か月間はトライアルとして無償で全ての機能を使用することができます。

AI搭載マスタリング機能

今回のアップデートで、AI搭載のマスタリング機能がFL Cloudに完全に統合され、より柔軟に楽曲を仕上げることが可能になりました。

画面上部のメニューから「Tool」を開き、「マスタリング…」を選択します。

表示されたウィンドウでは、マスタリングされた楽曲の保存場所や出力形式などを設定できます。
アップデートによりマスタリングの出力形式が強化され、目的や用途に合わせて、より自由に設定が行えます。

また、マスタリングウィンドウ内の「References」では、参照用のトラックAとトラックBにジャンルのプリセットを選択できます。
特定の音楽ジャンルに最適なマスタリング設定が自動で適用されるため、マスタリング設定やサウンドを比較することが可能です。
全ての設定が完了したら「Start」をクリックし、マスタリングを開始します。

新バージョンでは、音の暖かさや明るさ、低音と高音のエキサイター、ステレオワイドナー、マルチバンドダイナミクスプロセッサなどの高度なカスタマイズオプションが追加され、より細かい調整が可能になりました。

作曲の新たな扉を開く:AI搭載コード進行作成ツール

以前はベータ版でのみ利用可能でしたが、今回のアップデートで正式にリリースされ、すべてのユーザーが利用できるようになりました。

ベータ版時のAI搭載コード進行作成ツールの紹介動画 12:23〜

ピアノロールの「ツール」ボタンから、「コードと進行を作成…」を選択します。

「Progression」機能では、様々なムードに応じたコード進行を選択できます。
「Rhythm」機能では、コード進行にリズムを追加することも可能です。

さらに、「Generate」ボタンは、クリックするだけでAIが自動的にコード進行を生成します。
また、クリックする度に新しいコード進行が生成されます。

「conventional」と「adventurous」のスライダーでは、生成されるコード進行の複雑さを設定できます。
「conventional」に近づけると、シンプルで馴染みのある基本的なコード進行が生成され、「adventurous」に近づけると、より複雑で予想外の展開を含む実験的なコード進行が生成されます。

スケール名が表示されている箇所を右クリックし「編集」へ進むと、キーとスケールが変更できます。

「パフォーマンス」画面では、アルペジオなどの演奏パターンを選択でき、さらに詳細な設定も行うことができます。

クリエイティブな表現を広げる:リピート機能

ピアノロールとステップシーケンサーにリピート機能が追加されました。
選択したノートやビートを繰り返すことで、スタッター効果などの複雑なリズムパターンを簡単に作成できます。

ステップシーケンサーの場合は、右上の「グラフエディタ」をクリックします。

「Repeats」をクリックし、リピートしたいノートを入力します。
リピート回数はノートを上部に設定するほど多くなります。

ピアノロールの場合は、左下の「Control」をクリックし、「Note repeat」を選択します。

リピート回数はRepeat値が高いほど多くなります。

新たに追加されたプラグイン

FL Studio 2024のアップデートでは、複数の新しいプラグインも追加されています。

Kepler Exo

Kepler Exoは、ビンテージシンセサイザーの魅力を現代的に再解釈したプラグインです。
JUNO-6™やJupiter-8™などの伝説的なシンセサイザーを元に開発され、アナログサウンドの温かみを持ちながら、モジュレーションマトリックスによる柔軟性の高い音作りが可能な、シンセインストゥルメントです。

▶︎プリセットのサウンド(Arp)

▶︎プリセットのサウンド2(Pad)

クラシックなアナログシンセならではの温かみがしっかりと表現されています。
また、シンセウェーブやサイバーパンク、レトロウェーブなど現代的な音楽ジャンルに対応したプリセットも備わっています。

※Kepler Exoは、All Plugins Editionのみに含まれており、Signature以下のエディションでは個別購入で導入可能です。

Low Lifter

Low Lifterは、低音域に倍音を追加することができるプラグインです。
このエフェクトを使用することで、スマートフォンのスピーカーなどの低音域の再生能力が限られたデバイスでも、加えられた倍音により低音を感じさせることが可能です。

【A:ベース適用前】【B:ベース適用後】

Spreader

Spreaderはサウンドのステレオ感を強めることができるステレオエンハンサープラグインです。
モノラル音源であっても、ステレオ感を付加することが可能で、非破壊的で自然な音の広がりを作り出すことができます。
また「LOW BYPASS」機能により、低音域の広がりは抑えつつサウンドのステレオ感を広げることができるため、ベースなどの素材に使用しやすい設計です。

【A:Spreader適用前】【B:Spreader適用後】


いかがでしたでしょうか。
FL Studio 2024は、AIを活用した機能やクラウドサービスの統合により、クリエイターの創造性を最大限に引き出すツールとして進化を遂げています。
今回製品に触れてみて、特にサンプルライブラリがDAWに統合される利便性の高さは、非常に魅力と感じました。
FL Cloudは無料からでも使用できますので、是非チェックしてみてください!