【マスタリング】AIサービス VS マスタリングエンジニア|各サウンドをブラインドテストで比較
AIマスタリングのクオリティは現段階で実用レベルなのか?
最近はDTMでも話題に挙がることが多い「AIサウンドサービス」
今回は楽曲の最終仕上げとなる「マスタリング」で活躍するAIサービスを取り上げていきます。
5つのAIマスタリングサービスと、現役のマスタリングエンジニア様のサウンドをブラインド比較!
果たしてサウンドの違いは出るのでしょうか?ぜひ皆様の耳でご確認ください。
AIサービス VS マスタリングエンジニア 動画
スポンサー|Munute様のご紹介
当企画はのちの比較にも登場するAIマスタリングサービス「Munute」様のスポンサーで実現しました。
マスタリング処理の時間が圧倒的に早く、多様なジャンルの曲を多量に処理することが可能!
月3回まで無料でマスタリングを行うことが可能です。ぜひお試しください!
サウンド比較
それでは各サウンドの比較を行っていきます。
当企画にお付き合いくださったマスタリング&サウンドエンジニアは「Winns Mastering」を運営されている粟飯原 友美さんです。
この粟飯原さんのマスタリングに下記のAIマスタリングサービスを混ぜてブラインドテストします。
- 1.eMastered
- 2.iZotope Ozone
- 3.LANDR
- 4.Munute(企画スポンサー様)
- 5.Waves Online Mastering
まずはマスタリング前のサウンドを確認しておきましょう。
マスタリング前のサウンド
トラック数が少なめの歌モノのトラックです。
各サウンドにはA〜Fのアルファベットを振っています。
A〜Fの中から粟飯原さんがマスタリングしたサウンドを当ててください。
(粟飯原さんにはプラグインのみでマスタリング処理を行なっていただきました)
マスタリングA
マスタリングB
マスタリングC
マスタリングD
マスタリングE
マスタリングF
いかがですか?
こうして比較してみると違いがわかったという方も多かったのではないでしょうか?
回答は下記「ブラインドテストの解答」に記載しています。
アウトボードも組み合わせたサウンドは?
今回、粟飯原さんのマスタリングはプラグインのみに限定するという縛りをつけて行いましたが、いつも制作されている環境と同様のサウンドはどうなのか?
アウトボードも組み合わせたサウンドを作成いただきました。
- アウトボード+プラグインのサウンド
やはり、キメが細かく温かみがありますね!
ずっと聴いていたい心地の良いサウンドで、AIサービスとの差もしっかりと感じられます。
アウトボードはBettermaker製品がメインとして構成されています。
多くの機材を試す中で一発でそのサウンドに魅了されたとこと。
マスタリングソフトはSEQUOIAが導入されています。
ブラインドテストの解答
それでは各サウンドの回答を発表していきます。
改めて各サウンドも掲載しておきます。
A – eMastered
- $29.25/月 / 年契約の場合は約$13/月
- 最も細かな調整オプションが提供されており、カスタマイズ性が高いことが特徴
B – Munute(当企画のスポンサー)
- 無料〜$13/月 : 無料アカウントでも月に3回まで無料マスタリングが行える
- 価格の安さ、処理速度の速さ、処理前後の詳細な情報表示など快適な操作性も大きな特徴
- サウンドは全自動で行われるため、マスタリングの知識が全くない方でも簡単にハイクオリティなサウンドが得られる
C – 粟飯原さんのマスタリング
詳細の処理は下記に記載いたします。
D – LANDR
- Studio – 月契¥1,340/月 / 年契約の場合は¥800/月
Pro(プラグインなどのオプションが付属) – 月契¥2,680/月 年契約の場合は¥1,680/月 - サンプルやプラグインなどが付属し、総合的な制作アシストが実現
- AIマスタリングの参入が早く高いクオリティを誇る
- 1曲 : $5.99 / 15曲 : $59.99
- リファレンス機能、サウンドスタイル、トーン設定などが特徴
- 最近開始されたサービスで今後の発展に期待!?
- Standard ¥31,100 / Advanced ¥62,399
- 最も有名なAIマスタリングプラグイン
- 全自動だけではなく、手動での調整も可能で、各モジュールをDAW上でプラグインで使用可能
E – Waves Online Mastering
F – iZotope Ozone
粟飯原さんが行った処理
実際に粟飯原さんはどのような処理を行なったのでしょうか?
画像をご提出いただきました。
このようにかなり細かく処理を施してくださいました。
1つ1つの工程には明確な理由があり、その結果がしっかりとサウンドに影響していました。
エンディング
いかがでしたでしょうか?
実際にブラインドテストを行ってみて、各AIサービスのクオリティの高さを実感しました。
エンジニアさんの楽曲を判別できたポイントは、歌やリードなど、聞かせるべきトラックにしっかりとフォーカスがあたっているという点です。
ニュアンスを汲み取り、構築していく能力に差がついていました。
今回はトラック数が少なめの歌モノ楽曲を使用しましたが、ジャンルによってもクオリティが変わってきますので、ぜひご自身でも気に入ったサービスを試してみてください!
粟飯原 友美さん プロフィール
1995年ハリオンマスタリングスタジオからマスタリングエンジニアとしてのキャリアをスタート。
その後独立、仲間内でアンズサウンドを立ち上げ、渋谷にマスタリングとレコーディングのスタジオ作る。
2014年に独立、サイデラマスタリングを経て、2017年に生田に自分のマスタリングスタジオをオープンして完全独立。
マスタリングでは、ジャズ、クラシックからアニソン、ロックまで比較的幅広く手掛ける。
代表作としては、ASKA、松井慶子、鈴木慶江、井上銘、LEN、など。
2024年1月17日にBlu-ray『ASKA featuring DAVID FOSTER PREMIUM CONCERT 2023』リリースの作品にマスタリングで参加。
ホールでのクラシックの録音やライブレコーディングなどでも活動しており、スロヴァキアやマカオなどで、クラシック録音のテクニカルエンジニアやアシスタントエンジニアなどを務める。
ソプラノ歌手、齋藤青麗の「Francis Poulenc exquise mauvaise mélodies」では、レコーディングからマスタリングまで手がける。
空間オーディオでは、atmos musicのマスタリングで、ラクロワ・デスフェールというロックオペラのバンドの「Resurrection Symphony(レザレクション・シンフォニー)」、磯村由紀子の「Musical Echoes」(中国リリース)など。
昨年、初の自身の制作企画で東京芸術大学の亀川先生のご協力を得て、ヤニス・クセナキスの「Rebonds」で空間オーディオ作品をリリース。
Winns Masteringのサイトへ
粟飯原さんのnoteページへ
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