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エンジニア・プロデューサー 小嶋隆一のマスタリング講座 ② 各プラグインの設定編

プラグインを使用しマスタリングを行う

前回はマスタリングに入る前の準備についてお話をさせていただきました。
ここでは各プラグインを使用して実際にマスタリング処理へ入っていきます。

マスタリングの題材となる楽曲はSleepfreaksのYouTubeチャンネルでも使用されている「Beach SS Sunset」です。

まずはどの帯域にどのような成分が入っているかを確認します。

  • 「2kHzから5kHzまで」の中高域にはボーカルやバッキングギター、ピアノ、シンセなどが入っています。
  • 「8kHzから12kHz」の高域にはドラムのハイハットやシンバルなどの楽曲のなかで派手に響く成分が入っています。
  • 中低域の「90Hzから300Hz」には、ベースのキモとなる音域が入っており、その下の「50Hzから60Hz」にがキックの低域です。

これを念頭に置いて進めていきます。

テープシミュレータで楽曲に温かみを与える

ここではSLATE DIGITAL社のVIRTUAL TAPE MACHINESを使用し、トラック自体にアナログ独特の温かみを加えます。

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最初にテープシミュレータのタイプを決めます。

  • MACHINE TYPE:実機のテープレコーダはマルチトラック(16ch)か、マスター用の(2ch)に分けて使用されていました。

今回は、MACHINE TYPEを2TRACKに設定しています。

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  • BIAS(バイアス):磁気テープの歪みを抑えるために加える超音波信号
  • SPEED(テープスピード):テープの回転速度

回転が遅くなると高域が失われますが、低音域が増します。
逆に早くすると高域は失われずバランスは良いが、遅い回転と比べて低音域は付加されないという特徴があります。

ここではBIASを「NORMAL」、SPEEDを「30ips」に設定しました。

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楽曲全体に加えるサチュレーションを「-22db」に設定して、軽くサチュレーションがかかるセッティングにします。

では、テープシミュレータを通したサウンドの変化を聴き比べてみましょう。

  • 適用していない状態(バイパス)
  • 適用した状態

ここで1つポイントがあり、メーターが「0db」を超えないようにインプットを下げていきます。

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メーターの針が「0db」近辺になるよう、インプットツマミを調整していきます。
ここでは「-1.5db」に設定した前後を聴き比べてみましょう。

いかがでしょうか?ドラムのアタック感が前に出たのがお分かりいただけたかと思います。

ただし、テープシミュレータを使っての調整は音質にとても影響しますので、極端な設定にするとかなり過激に変化してしまいます。
オンとオフを聴き比べてしっかりと調整をしていきましょう。

製品サイト: http://www.miyaji.co.jp/MID/product.php?item=VTM

VUメータでボリュームを確認する

プラグインを通していくと、少なからずボリュームが変化します。
最終系に近づけて適切なモニタリングにするためにVUメータのプラグインを使用してモニタリングしていきます。

ここではPSP Audio Ware TripleMeterを使用していきます。

製品サイト:https://beatcloud.jp/product/149

VU

  • REFERENCE:リファレンスレベル
  • INTEGRATION:インテグレーションタイム

まずVUメーターの設定は、REFERENCEを「0db」
INTEGRATIONが「300ms」になっていることを確認します。

実際にVUメータを確認してみます。
今回は「-20db」になっていますので一般的な音量の「-7db」付近になるように

HOFA 4U METER,FADER & MS-PANを使用して調整します。

製品サイト:https://hofa-plugins.de/en/plugins/4u/

EQで音質を調整

次に、ボーカルが入っている部分をループ再生しながらEQで音質を調整をしていきます。

EQ

ここで使用するプラグインは「Brainworx bx_digital V3」です。
非常に高機能なEQですが、今回は2Mixの音質調整のための処理ですのでシンプルなセッティングで使用します。

製品サイト: https://www.plugin-alliance.com/en/products/bx_digital_v3.html

「EQ」ボタンをONにし、左右のパラメータを同じにする「LINK」ボタンもONにします。
中央のツマミは「LR」になっている事も確認してください。

EQ2

ボーカルをもう少し前に出したいため、3kHzから4kHzあたりを探ってみましょう。
GAINを上げ、Q幅を縮めて調整をしていきます。
今回は「3.7kHz」くらいがちょうど良いと感じました。

EQ3

次に、ギターをロックっぽく聞こえさせたいので、2kHz〜3kHzあたりを調整してみましょう。
ボーカルと同じく、GAINを上げてQ幅を縮めて周波数を探ります。「2.13kHz」あたりですね。

EQ4

高域も調整していきましょう。
ハイハットが鳴っているあたりを探してブーストしました。
これで抜けが出てきますね。

EQ6

最後にキック、ベースのLowも調整します。
キックの勢いが欲しいため帯域的には「60Hz〜70Hz」の間ぐらいですね。
今回は「62Hz」がちょうど良いようです。

これでEQ処理が完了しました。聴き比べを行なってみましょう。

  • 適用していない状態(バイパス)
  • 適用した状態

いかがでしょうか?だいぶ迫力が出てきたかと思います。

通常、ミキシングのEQは「削る処理」の方が多いですが、マスタリングはMIXがしっかりと出来ていることを前提に、サウンドの魅力を引き出せるように「足す」という考えで進めていきます。

以上、メインのEQ処理でした。
次回はこのサウンドを基にリミッターやトータルコンプなどの音量系のエフェクト処理を行っていきます。

お楽しみに!


小嶋隆一(エンジニア・プロデューサー)プロフィール

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マルチプレイヤー(ギター、ベース、キーボード、プログラミング等)であり、作曲、編曲、レコーディング~マスタリングまでマルチでプロデュース出来る日本では数少ないエンジニア•プロデューサー。

経歴は、ヤマハ音楽振興会主催第24回ポピュラーソングコンテストつま恋本戦会、第13回世界歌謡祭出場後シンガー・ソング・ライターとして音楽活動に専念するが25歳で引退。
制作ディレクターに職種を変えヤマハ音楽振興会~ソニー•ミュージック•エンタテインメントで15年に渡り実績、経験を積む。

2000年に制作/レーベル/レコーディング/マスタリングを核にしたApple Paint Factroy Ltd.を設立。現在に至るまで代表取締役兼エンジニアプロデューサーとして活動している。

エンジニア•プロデューサーの顔以外に、これまで多数のロックバンド、シンガーソングライターをアマチュアからメジャーデビューに導いた手腕も高く評価されている。
また、エンジニア・プロデューサーとしてニューヨーク•ステアリングサウンド、ロンドン•アビーロードスタジオでの仕事交流の実績もある。




[これまで手がけて来たアーティスト、作品]


●ヤマハ音楽振興会時代→作曲家:小森田実(SMAPなど実績多数)、作詞家:山田ひろし(TOKIOなど実績多数)育成


●ソニー•ミュージック•エンタテインメント時代→the brilliant green、フラワーカンパニーズ、To Be Continued、センチメンタル•バスザ•ハミングス(現在秦基博のサウンドプロデューサー上田禎在籍)、Continental Breakfast(サウンドプロデューサー西岡和也在籍)、miyuki、CALL、The Bluck、BLue-B、朝日美穂他多数アマチュアからメジャーに導き制作プロデュースを行う。


●2000年以降→Wyse(ワーナーミュージック•ジャパン)、Walrus(テイチクエンタテインメント、ブンブンサテライツのサウンドプロデューサー三浦カオル在籍)、CLOUD(クラウンレコード)、川嶋あい(インディーズ盤3部作制作マスタリング)、サスケ(育成)、手嶌 葵(デビュー前デモCDマスタリング)、Cube Juice(ビクターエンタテインメント)、サカヒカリ(コナミ・エンタテインメント)、Great Adventure(EMIミュージック)他多数。




[コラボレーション]



●
ジャスティン・ノズカ(カナダ)(EMIミュージック)→2nd Album国内盤ボーナストラックのミックス、マスタリング担当。
The Accelerators(Italy)デビッドビアンコプロデュース作品→1st Album全曲マスタリング担当。
町田康→新潮社朗読CD「そこ溝あんで」編曲、録音、ミックス、マスタリング担当。




●アニメ作品

峰倉かずや作品「私立荒磯高等学校生徒会執行部」の主題歌、エンディング曲の作曲、編曲、録音、ミックス、マスタリング担当。



[最近の作品]


The Captains、Go Go Vanillas、The Twenties、Paper Syndrome、藤岡正明、リトルタートルズ、URBANフェチ、加藤登紀子、長田勇気、上野まな等全アーティスト編曲、録音、ミックス、マスタリング担当。
また、K-POPアーティストBTOB、Girls Dayの日本盤CD何も2015年リリース作品の制作ディレクションを担当。
2017年公開の映画『まっ白の闇』(日本芸術センター第9回映像グランプリ グランプリ作品)
サウンドトラック担当(作曲、編曲、録音、ミックス、MA担当)。
主題歌『Look For The Light/歌 夕蘭(れりあ)』サウンドプロデュース担当。
Shun Kikuta & BLUES COMPANY、2018年リリース最新アルバム、録音、ミックス、マスタリング担当。

WEBサイト : http://www.apf.co.jp