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目次

【DTM】ストリングス音源 ランキング ベスト5 DTMer3067名が回答!

Author: sleepfreaks

当企画もいよいよ最終回 人気のソフトストリングス

DTMer7526人に聞いたアンケートシリーズ
最終回はストリング音源のランキングを発表していきます。

ストリングス音源を追加購入されている方は7526名中3067名という結果となりました。
音源の中でも価格が高めのため、気になる製品に手を出しにくいという方も多いかもしれません。
ここではサウンドと共に各製品の特徴をお伝えしていき、ストリングス音源を選択する際の指針となる内容を目指していきます。

人気のストリングス音源ランキング

人気ストリングス音源メーカー別ランキング

それではアンケート結果に進んでいきます。
今回のアンケートは製品名、エディションの記載がないケースや、メーカーのみご記入されているという方も多くいらっしゃいました。
そのため当ランキングは製品名ではなく、メーカー別のランキングとしています。

まずは生の音源サウンドを確認してみましょう。
今回は弊社クラウドファンディングで制作した「TOMORROW」のストリングストラックを使用していきます。

元音源

5位 Vienna Symphonic Library 157名 €580

  • プロ : 50名
  • アマ : 107名

Special Editionの使用者が59名と最も多く、次いでChamber Strings52名となっています。
今回の比較検証は、新たにリリースされたサンプラーエンジン「Synchron Player」を使用して検証を行なっていきます。
容量は63GB。アーティキュレーションを拡張するPlusを追加した場合76GBとなります。
クセがなくフラットなサンプルが使用されているため、楽曲に合わせてコントロールしやすいという特徴があります。

製品URL : https://sonicwire.com/product/vienna/special/product_list_sp

4位 EastWest 213名 $995

  • プロ : 66名
  • アマ : 147名

Hollywoodシリーズが最も多く、次いでSymphonicシリーズが人気となりました。
サブスクリプションサービス「Composer Cloud」を使用することでEastWestの全製品を使用することができ、導入コストが安価という特徴もあります。
ストリングス以外も含みますが、全体容量が330GB。ストリングスのみで125GBという大容量で、多くのアーティキュレーション備わっているという特徴があります。
先日リリースされたサンプラーエンジンOpusを使用して検証しています。

製品URL : https://www.soundsonline.com/

3位 IK Multimedia 384名 €499.99

miro

  • プロ : 46名
  • アマ : 338名

Miroslav Philharmonikが272名、SampleTankが100名となりました。
Miroslav Philharmonikは2015年の発売ということでリリースから年月が経過していますが、頻繁にセール対象となっている点からも導入しやすい製品となっています。
ストリングス以外の音源も含めて容量が58GB。オーケストラ音源としてコンパクトな容量です。
検証はMiroslav Philharmonik 2を使用していきます。

製品URL : https://beatcloud.jp/product/585?atag=007

2位 Spitfire Audio 471名 $999

Spitfire Audioからは2製品を検証の対象としています。

BBC SYMPHONY ORCHESTRA

BBC


メーカーURL : https://sonicwire.com/product/A8338

製品に付属する専用サンプラーで動作するオーケストラ総合音源です。
ストリングス以外の音源も含めた場合、圧縮時容量が631GB。他製品と比較しても大容量となっています。
アーティキュレーションは多くはありませんが、豊富なマイクポジションが含まれており、サウンドバリエーションの広さが特徴です。
サウンドクオリティ、操作性、視認性など全てが平均点以上という印象です。

Chamber Strings

Chamber Strings


メーカーURL : https://sonicwire.com/product/A1015

Kontakt・Kontakt Playerで動作し、小規模アンサンブルに特化したストリングス音源です。
圧縮時容量107GB(非圧縮時312GB)となっており、ストリングス単体音源としては最も容量が大きいという特徴があります。
小編成という特徴が活かされた「立ち上がりの良さ」「細かなフレーズへの追従性」「多くのアーティキュレーション」など非常にハイレベルな音源です。
このようなサウンド傾向から、J-Popと相性が良い音源としても高い人気を誇ります。

  • プロ : 131名
  • アマ : 340名

BBC SYMPHONY ORCHESTRAシリーズが150名、Chamber Stringsが100名、Labsライブラリが90名という結果となりました。
今回はBBC SYMPHONY ORCHESTRAとChamber Strings Professionalの2製品を比較検証しています。

1位 Native Instruments:901名 ¥40,300

  • プロ : 161名
  • アマ : 740名

Session Stringsシリーズが最も多く613名となりました。
人気の音源バンドル「KOMPLETE」に収録されていることがランキングの結果に結びついているのではないかと感じました。
中規模のストリングスサウンドを音源化した製品で、タイトな音の立ち上がりが特徴です。
非圧縮時69GBという膨大な容量のサンプルが用意されているため、多彩な奏法を楽しむことができます。
検証ではSession Strings Pro2を使用していきます。

製品URL : https://shrsl.com/3djnd

追加検証を行なった2製品

今回は最近リリースされた話題の2製品を追加して検証を行いました。

LA Scoring Strings €599

LA_Strings

    Kontakt・Kontakt Playerで動作する、ストリングス音源です。
    生々しいサウンド・明瞭な輪郭が評判のLA Scoring Stringsの最新版としてリリースされました。
    操作性の改善や、価格の大幅値下げなど、人気音源となる可能性を秘めていると感じたため検証に加える判断としました。
    圧縮時容量23GB(非圧縮時容量33GB)と比較的軽量ながら、細かな奏法指定に対応しているという特徴があります。
    同社からリリースされている「Modern Scoring Strings」の下位製品という位置付けで発売されています。

    製品URL : https://www.audiobro.com/la-scoring-strings-3/

TOKYO SCORING STRINGS 3 $499

TOKYO_SCORING_STRINGS

    Kontakt・Kontakt Playerで動作するストリングス音源です。
    アニメ、ゲーム、J-Popと数々の作品に参加されている「室谷光一郎ストリングス」をサンプリングした音源で、日本のストリングスサウンドが収録された初めてのライブラリとして話題となりました。
    圧縮時容量90GB。多彩で細やかな表現を可能にしながらも、ユーザーインターフェイスがシンプルで操作性が明瞭といった、扱いやすさに特徴があります。
    上記の生ストリングスサウンドもこの室谷光一郎ストリングスに演奏いただいています。
    本人のソフト音源が生演奏にどこまで肉薄できるのか?という点もご注目ください。

    製品URL : https://sonicwire.com/product/B2606

楽器編成について

ストリングス音源において編成人数は、サウンドキャラクターを決定づける重要な要素の1つです。
併せてビブラートやダイナミックスといった、基本的な演奏位表現に対応しているかどうかも比較します。

楽器編成

比較サンプル用の生演奏

比較音源(生演奏)の編成人数は下記です。

  • 1st.バイオリン:4名
  • 2nd.バイオリン:3名
  • ヴィオラ:3名
  • チェロ:2名
  • コントラバス:0名

ポップスにおけるストリングスの王道編成として頻繁に使用されるセッティングです。
コントラバスが使用されていないのは、ベーストラックが役割をカバーしているためです。

Session Strings Pro2
  • 1st.バイオリン:8名
  • 2nd.バイオリン:8名
  • ヴィオラ:6名
  • チェロ:4名
  • コントラバス:4名

△セカンドバイオリン固有のサンプルがないためファーストと同じサンプルを使用する必要がある。
○Divisiに対応し、各パートごとに人数を半分に分割可能。

Miroslav Philharmonik
  • 1st.バイオリン:14名
  • 2nd.バイオリン:14名
  • ヴィオラ:8名
  • チェロ:5名
  • コントラバス:4名

△セカンドバイオリン固有のサンプルがないためファーストと同じサンプルを使用する必要がある。
△Divisiには非対応。

BBC Symphony Orchestra
  • 1st.バイオリン:16名
  • 2nd.バイオリン:14名
  • ヴィオラ:12名
  • チェロ:10名
  • コントラバス:8名

○セカンドバイオリン固有のサンプルが収録されており1st・2ndバイオリンのユニゾンが可能。
○ソロ用のパッチが含まれている。
△Divisiには非対応。

Spitfire Chamber Strings
  • 1st.バイオリン:4名
  • 2nd.バイオリン:3名
  • ヴィオラ:3名
  • チェロ:3名
  • コントラバス:3名

○小編成のライブラリのため、サウンドの立ち上がりが鋭く、細かいフレーズもハッキリと表現可能。
○セカンドバイオリン固有のサンプルが収録されていることで、1st・2ndバイオリンのユニゾンが可能。
△Divisiには非対応。

Hollywood Orchestra
  • 1st.バイオリン:16名
  • 2nd.バイオリン:14名
  • ヴィオラ:10名
  • チェロ:10名
  • コントラバス:7名

○オーケストラ音源のため人数が多く、厚みのあるサウンドが特徴。
○バイオリンとチェロでソロ演奏用のパッチが用意されている。
○Divisiに対応し、各パートごとに人数を半分に分割可能。

Synchronized Special Edition
  • 1st.バイオリン:14名
  • 2nd.バイオリン:14名
  • ヴィオラ:10名
  • チェロ:8名
  • コントラバス:6名

○ソロ演奏用のパッチが含まれている。
△セカンドバイオリン固有のサンプルがないためファーストと同じサンプルを使用する必要がある。
△Divisiに非対応で演奏人数の分割は不可。

LA Scoring Strings 3
  • 1st.バイオリン:16名
  • 2nd.バイオリン:16名
  • ヴィオラ:12名
  • チェロ:10名
  • コントラバス:8名

◎Divisiに最も柔軟に対応でき、演奏人数を半分、もしくは4分の1まで分割可能。
○ソロ演奏用のパッチが含まれている。
△セカンドバイオリン固有のサンプルがないためファーストと同じサンプルを使用する必要がある。

Tokyo Scoring Strings
  • 1st.バイオリン:8名
  • 2nd.バイオリン:6名
  • ヴィオラ:4名
  • チェロ:4名
  • コントラバス:3名

○セカンドバイオリン固有のサンプルが用意されている。
△Divisiには非対応。
△ソロ演奏用のパッチはなし。

基本演奏表現について

バイオリンやチェロなどの擦弦(さつげん)楽器は、ノートを発音している途中で演奏の強さを変えたり、ビブラートをかけることができます。

  • ビブラート(ピッチの揺れ) : ノートの発音中にビブラート量をコントロールできるか
  • ダイナミクス(音色も変化する) : ノートの発音中に強弱をコントロールできるか
  • エクスプレッション(音量のみが変化する) : ノートの発音中に音量を変更できるか

より生演奏らしい表現を行うためには、これらの奏法に対応していることが重要となります。

Session Strings Pro2

△ビブラートのコントロールには非対応
○ダイナミクスのコントロールに対応
○エクスプレッションのコントロールに対応

Miroslav Philharmonik

△ビブラートのコントロールには非対応
△ダイナミクスのコントロールには非対応
○エクスプレッションのコントロールに対応

BBC Symphony Orchestra

○ビブラートのコントロールに対応
○ダイナミクスのコントロールに対応
○エクスプレッションのコントロールに対応

Spitfire Chamber Strings

○ビブラートのコントロールに対応
○ダイナミクスのコントロールに対応
○エクスプレッションのコントロールに対応

Hollywood Orchestra

○ビブラートのコントロールに対応
○ダイナミクスのコントロールに対応
○エクスプレッションのコントロールに対応

Synchronized Special Edition

○ビブラートのコントロールに対応
○ダイナミクスのコントロールに対応
○エクスプレッションのコントロールに対応

LA Scoring Strings 3

○ビブラートのコントロールに対応
○ダイナミクスのコントロールに対応
○エクスプレッションのコントロールに対応

Tokyo Scoring Strings

○ビブラートのコントロールに対応
○ダイナミクスのコントロールに対応
○エクスプレッションのコントロールに対応

奏法(アーティキュレーション)の切り替えについて

生のストリングスはフレーズ内で様々な奏法を多用して表現をより豊かにしています。
そのニュアンスを打ち込みで表現するためには、アーティキュレーションの切り替えは必要不可欠と言えるでしょう。
ここではアーティキュレーション切り替えのカスタマイズ性、操作性を中心に比較を行いました。

Session Strings Pro2

○キースイッチの切り替えに対応
○MIDI CCの切り替えに対応
△MIDIチャンネルの切り替えに対応

アーティキュレーション切り替えは、キースイッチとMIDI CCで行うことができ、ユーザーが独自に設定可能です。
MIDIチャンネルごとに異なるアーティキュレーションを読み込ませることも可能ですが、公式には推奨されてはいませんでした。

Miroslav Philharmonik

△キースイッチの切り替えに対応
×MIDI CCの切り替えに非対応対応
○MIDIチャンネルの切り替えに対応

キースイッチは予め用意されたパッチのみで使用可能で、カスタマイズは行えません。
アーティキュレーションが音の長さなどで細かく分けられているため、全てを把握することが困難と感じました。

BBC Symphony Orchestra

○キースイッチの切り替えに対応
○MIDI CCの切り替えに対応
○MIDIチャンネルの切り替えに対応

カスタマイズ性も高く、ユーザーインターフェイスがシンプルなため奏法の把握も容易です。
これらの扱いやすさという点で最も優れているように感じました。

Spitfire Chamber Strings

○キースイッチの切り替えに対応
○MIDI CCの切り替えに対応
○MIDIチャンネルの切り替えに対応

キースイッチとMIDI CCと複数のパラメーターを組み合わせた設定も可能で、カスタマイズ性は高いです。
逆に自由度が高いゆえに機能が多く、操作性は複雑に感じられました。

Hollywood Orchestra

○キースイッチの切り替えに対応
○MIDI CCの切り替えに対応
○MIDIチャンネルの切り替えに対応

サンプラーソフトが新しいこともあり、自由度の高さ、アーティキュレーション一覧の視認性も高いです。
とても扱いやすいと感じました。

Synchronized Special Edition

○キースイッチの切り替えに対応
○MIDI CCの切り替えに対応
○MIDIチャンネルの切り替えに対応

アーティキュレーション一覧がカラム表示で階層化されており、すぐに把握できる設計となっています。

LA Scoring Strings 3

○ビブラートのコントロールに対応
○ダイナミクスのコントロールに対応
○エクスプレッションのコントロールに対応

1つの画面でビブラート、ダイナミクス、エクスプレッション、アーティキュレーションの確認ができ、奏法の把握がとても行いやすく設計されていました。
アーティキュレーションの切り替えは、プリセット内部の切り替え、プリセット自体の切り替えが行えます。

Tokyo Scoring Strings

○ビブラートのコントロールに対応
○ダイナミクスのコントロールに対応
○エクスプレッションのコントロールに対応

上記のLA Scoring Strings 3と同様に、ビブラート、ダイナミクス、エクスプレッション、アーティキュレーションを1つの画面で確認可能です。
アーティキュレーションの一覧もカテゴリごとに配置されているため、迷いがなくユーザフレンドリーという印象です。

奏法(アーティキュレーション)のバリエーション

アーティキュレーションを細かく確認していくと表のようになります。

アーティキュレーションALL

ここでは使用頻度の高い下記4種類のアーティキュレーションを比較していきます。

  • ロングトーン奏法
  • ショート系奏法
  • レガート奏法
  • トレモロ・トリル奏法
Session Strings Pro 2

全アーティキュレーション数 : 26

○スケールに応じたTrill奏法に対応しています。
○Glissando奏法に対応しています。
×Spiccato、Staccatoの長さが一種類のみで変更はできません。
×レガートスピードの調整ができません。

Miroslav Philharmonik

全アーティキュレーション数 : 73 (強弱や弓の上げ下げも個別のパッチ)

○StaccatoやSpiccatoのバリエーションが長さ別で3種類用意されています。
×ラウンドロビンに非対応。
×Marcato奏法のパッチがないため、アタックを強調することができません。
△レガート用パッチはありますが、ノート間のピッチを滑らかに繋ぐ表現には非対応です。
×ポルタメントは用意されておらず、Glissandoも2ノート間をグリスした固定サンプルがあるのみとなります。

BBC Symphonic Orchestra

全アーティキュレーション数 : 20

○Staccato、Spiccatoの長さは1種類のみですが、Tightnessにより余韻のコントロールが行えます。
×レガートスピードの調整ができません。
×Glissando奏法が用意されていません。

Spitfire Chamber Strings

全アーティキュレーション数 : 45

○Staccato、Spiccatoの長さは1種類のみですが、Tightnessにより余韻をコントロール可能です。
○レガートスピードの調整が可能です。
○レガートの他に別途スラー奏法が可能です。
○Glissando奏法に対応しています。

Hollywood Orchestra

全アーティキュレーション数 : 25

○Trill、Tremoloのレガート奏法に対応しています。
○レガートスピードの調整が可能です。
○レガートの他に別途スラー奏法が可能です。
○レガートしながらスタッカートが可能です。
○Staccato、Spiccatoのラウンドロビンが最も多く用意されています。
△Staccato、Spiccatoの長さは1種類のみですがEnvelopeにより余韻をコントロール可能です。

Synchronized Special Edition

全アーティキュレーション数 : 27

△レガートスピードには非対応ですが、Legato Blurによりサンプル間のつながりを調整可能です。
△Staccato、Spiccatoの長さは1種類のみですが、ストレッチ機能により長さをコントロール可能です。
△Staccato、Spiccatoのラウンドロビンには非対応ですが、ヒューマナイズによりサウンドに変化を加えることができます。

LA Scoring Strings 3

全アーティキュレーション数 : 32

○Trill、Tremoloのレガート奏法に対応しています。
○レガートスピードの調整が可能です。
○Glissando奏法に対応しています。
△Staccato、Spiccatoの長さは1種類のみですが、Tightenにより余韻をコントロール可能です。

Tokyo Scoring Strings

全アーティキュレーション数 : 19

○Staccato、Spiccatoの長さがそれぞれ2種類のサンプルとして用意されています。
○レガートの他にスラー奏法が可能です。

どの製品も対応しているアーティキュレーションが似ている傾向でしたが、Miroslav PhilharmonikとSynchronized Special Editionの2製品は対応している奏法が少ない印象です。

その他 特徴的な機能

ピッチやタイミングなどに僅かな変化を加えて人間らしさを演出するヒューマナイズ機能、打ち込みを簡単にする入力補助機能などの特殊機能も確認していきます。

その他__特徴的な機能

Session Strings Pro 2

○ヒューマナイズに対応。
○パターンシーケンス機能。
○Smart Chord(コード入力補助機能)。
○Smart Voice Split(和音から音域に合わせて楽器を振り分けてくれる機能)。

Spitfire Chamber Strings

○レガートタイムのベロシティによるサウンド切り替え(Legato Performance)。

Hollywood Orchestra

○ヒューマナイズに対応。
○パターンシーケンス機能(Hollywood Orchestrator)。

Synchronized Special Edition

△ヒューマナイズに対応(Shortカテゴリの奏法のみ対応)。

LA Scoring Strings 3

○ヒューマナイズに対応。
○パターンシーケンス機能(Rhythm Tool)。
○Auto Divisi : 1パートが複音で演奏される際に、自動的に奏者の人数を分割する機能。
○LOOK A HEAD : 書き出し時にノート発音タイミングのばらつきを補正してくれる機能。

Tokyo Scoring Strings

○LOOK A HEAD : 書き出し時にアーティキュレーションや、レガートタイムの自動設定を行なってくれる機能。

上記の機能と合わせて特に面白いと感じたのがこの「LOOK A HEAD機能」でした。
MIDIをベタ打ちした状態でもフレーズを先読みして最適なアーティキュレーションへ切り替えて演奏してくれます。
フレーズへ簡易的に素早くニュアンスをつけたい際にとても便利な機能と感じました。

サウンドエディット

ストリングスサウンドを決定する上で重要なマイクポジション、そしてエフェクトについての比較です。

マイクポジション/サウンドエディット

Session Strings Pro 2

マイクポジション:1
多彩なエフェクトが用意されており、音源内部でミキシングが可能。

Miroslav Philharmonik

マイクポジション:1
T-Racks譲りの多彩なエフェクトが用意されており、音源内部でミキシングが可能。

BBC Symphonic Orchestra

マイクポジション:20
マイクポジションが充実しており、エフェクトはリバーブのみが用意されている。

Spitfire Chamber Strings

マイクポジション:4
内蔵エフェクトはなし。

Hollywood Orchestra

マイクポジション:5
多彩なエフェクトが用意されており、音源内部でミキシングが可能。

Synchronized Special Edition

マイクポジション:1
多彩なエフェクトが用意されており、音源内部でミキシングが可能。
パートごとに専用のIRリバーブが用意されており、オーケストラ配置によるリアルなリバーブを適用することができます。

LA Scoring Strings 3

マイクポジション:1
マイクポジションは1種類のサンプルのみですが、「Depth Control」により左右や奥行きといった配置ポジションをドラッグで再現可能です。
エフェクトも豊富に用意されており、音源内部でミキシングが可能です。

Tokyo Scoring Strings

マイクポジション:4
多彩なエフェクトが用意されており、音源内部でミキシングが可能です。

Spitfireはエフェクトよりもマイクポジションを優先し、エフェクトに重きを置いていない傾向にあると感じました。
その他の製品は、ミキシングに必要なエフェクトが一通り用意されています。

ストリングス音源 総評

各製品ごとに使用し、感じた項目を総評として記載いたします。

ストリングス音源 総評

Session Strings Pro 2

クセがない素直なサウンドと併せて、MIDI入力をアシストしてくれるサポート機能も用意されているため、ストリングスの打ち込みに不慣れな方にもお勧めできる製品です。
アーティキュレーションが少なめで、演奏ニュアンスを追い込む機能が少ないため、リアルで緻密なストリングを打ち込む用途に対しては少し不向きな製品と感じました。

Miroslav Philharmonik

キースイッチで扱えるアーティキュレーションが限定的であるため、音源の性能を発揮するためには使用するアーティキュレーションごとに異なるパッチを、異なるチャンネルに立ち上げて使用する必要があります。
また、ビブラートやダイナミクスのコントロール、レガートにも対応していません。
これらの点から、他製品と比較しても少し見劣りしてしまう部分が多いと感じました。
ただ、セールが頻繁に行われており、安価で導入できるタイミングが多いことから、まずはDAW付属音源から脱却したいという方にお勧めです。

BBC Symphonic Orchestra

洗練されたインターフェイスは、演奏状態の把握が行いやすく、使いやすさの面で多くのアドバンテージがあります。
サウンドも素晴らしいですが、オーケストラ向きの製品のため、サウンドの立ち上がりが比較的遅めです。
ポップスの制作を目的として製品を購入される場合は、下記のSpitfire Chamber Stringsをお勧めいたします。

Spitfire Chamber Strings

多彩な奏法が用意されており、自由度がとても高い製品です。
小編成ライブラリ(サウンドが近め)を求めている方で、細かな追い込みを行いたい方にお勧めしたく思います。
ただ、好みにカスタマイズ出来る幅が広いため、設定が複雑になりがちで、打ち込みに慣れていない方にとっては難しく映ってしまうと感じました。

Hollywood Orchestra

豊富なアーティキュレーション、優れた操作性を持つ万能タイプの製品です。
サウンドがフラットではなく、少し特徴がありますので、このニュアンスが好みか?という点を確認して導入を検討されると良いと感じました。
今回の製品で唯一サブスクリプション契約に対応しているため、本格的なストリングス音源を安価で使用することができます。

Synchronized Special Edition

アーティキュレーションの確認、切り替え、カスタマイズ性など、とても扱いやすい製品です。
サウンドはフラットでコントロールを行いやすく、ノート同士の繋がりも自然です。
ただ、ビブラートやダイナミクスコントロールが行えない点が残念に感じました。

LA Scoring Strings 3

編成人数の自由度が高く、上記でも触れた「Auto Divisi」や「Depth Control」など固有の機能も多い製品です。
奏法面でもできないことは少なく、非常にバランスの良い製品という印象です。
注意点として演奏するノートによって、少しピッチが不安定な部分が見受けられました。
そのため使う場面やジャンルによってはピッチ補正が必要になる可能性があります。

Tokyo Scoring Strings

アーティキュレーションの確認、ダイナミクスやビブラートなど音源のコントロールに必要な情報が1画面で明確に確認できる点が素晴らしいです。
サウンドはクセがなく、多くのジャンルでも使用できる印象を受けました。初心者からすでに他音源を使用されている方にもお勧めできます。
また、演奏の先読みを行い、奏法を含めたフレーズを最適化させる「Look A Head」も優れており、制作の時短を求める方に是非お試しいただきたいです。



1年以上に渡って公開を行ってきましたソフト音源アンケートシリーズ。
お楽しみいただけましたでしょうか?

私がDTMを始めたのは約20年前となりますが、当時と比較してサウンドクオリティの進化には大変驚かされます。
当時はいかに生のように聴かせるか?という打ち込みテクニックが重要視されていましたが、現在ではソフトの中でこれらをカバーしてくれる機能が大半です。
イメージしたフレーズや楽曲を高音質で再現することができるため、より作曲に集中できるという点も素晴らしいと感じました。

当シリーズで行なった検証や比較が音源の購入時にご活用、お役に立てば幸いに思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!



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