現段階で最強か!?MIDI 2.0に対応した最新鋭のMIDIキーボード KORG「Keystage」
一歩進んだDAWとの連動を体験!次世代MIDIコントローラーの実力とは!?
MIDI2.0対応のキーボードコントローラーとしてリリースされ話題のKORG 「Keystage」
通常のMIDIキーボードと比較し、どのようなことができるのでしょうか?
ここではDAWを使用しながら製品の特徴や機能の詳細を確認していきます。
KORG Keystage 動画
スペックについて
まず、KORG Keystageの主な仕様を見ていきましょう。
サイズと重量
Keystageには2種類のラインナップがあり
- 49鍵モデル : 814 × 234 × 82 mmで重量4.2 kg
- 61鍵モデル : 979 × 234 × 82 mmで重量5.0 kg
このように両タイプともに軽量でポータビリティに優れています。
電源供給はUSBバスパワーに対応し、PC接続時に追加の電源は不要です。
またオプションのACアダプターを使用すれば、スタンドアローンのMIDIキーボードとしても機能します。
オーディオインターフェイス
当製品はMIDI機能だけではなく、オーディオインターフェイスとしての機能も持ち合わせています。
DAWのサウンドを直接出力できる点は非常に嬉しいですね!
性能は44.1kHz、16bitとスペックが控えめですが、製品名から伺える通りライブパフォーマンス向けというコンセプトに合わせて制作されているためと思われます。
鍵盤の品質と機能
鍵盤は価格に見合った高い品質/打鍵感が実現されています。
キーボードタッチでハンマーアクションやセミウェイテッドほどの深さはありませんが、重みはしっかりと感じることができます。
また、各ノートのアフタータッチを個別に出力できる「ポリフォニックアフタータッチ」に対応しており、リアルタイムの演奏性が重視されていることを感じました。
付属ソフトについて
Keystageには、プロパティエクスチェンジに対応した下記3つのソフトウェアがバンドルされおり、購入後すぐにハードとソフトウェアを連携させた楽曲制作を体感できます。
KORG Gadget Producer Bundle
KORG製のシンセやエフェクトガジェットを数多く搭載した楽曲制作アプリケーションの上位エディションで、一般的なDAWとは異なる特徴があり根強いファンを持っている人気製品です。
※Kamata、Stockholm、DeeMax、Ebina、Otorii、Lexingtonのガジェットはプロデューサーバンドルには含まれません。
wavestate native LE
「Wave Sequence」というサンプル、タイミング、ピッチ、およびその他の要素を個別に操作して、音楽パターンを作成する個性的なエンジンを持つシンセサイザーインストゥルメントです。
現時点ではスタンドアロン版のみですが、MIDI 2.0 プロパティエクスチェンジに対応します。
LE版はDAWプロジェクト内に1つという制限がありますが、それ以外は上位版のNativeと同等の機能が備わっています。
Ableton Live
Keystageには「Ableton Live 11 Lite」というエントリーモデルのDAWが付属しており、すぐに音楽制作を始められます。
後に詳しく解説を行いますが、Ableton Liveの各エディションはKeystageとの深い連携が行え、製品のポテンシャルを最大限に活用することができます。
その他、多数のバンドルソフトが手に入ります。
詳細はコチラから。
MIDI 2.0の特徴と応用
Korg KeystageはMIDI 2.0に対応したデバイスですが、MIDI2.0の規格仕様には様々な機能が含まれており、製品にどの機能が備わっているかという点を確認することが重要です。
MIDI2.0の規格として提唱されている機能は下記です。
- 高解像度コントロール : メッセージの解像度向上。音量や音色の微細なニュアンスを制御
- 双方向通信 : デバイス間の情報交換によるダイナミックな相互作用
- プロファイルとプロパティエクスチェンジ : 設定の自動認識や機器間の互換性向上
- 拡張された表現力 : 独立したピッチベンドや音量変更が可能な新メッセージタイプ
Keystageは上記の「双方向通信への対応」と「プロパティエクスチェンジ」をサポートしていますが、現時点でこれらMID2.0の機能を使用できるソフトウェア音源は上記の「wavestate native LE」と同じくKORG社の「opsix native」となっており、他社製品はこれから普及が見込まれる状況です。
また、DAW自体がプロパティエクスチェンジに対応していないため、これらMIDI2.0の機能を使用する場合は音源をスタンドアローンで起動する必要があります。
この点を考慮するとMIDI2.0に関する様々な機能が各DAWに実装された時、Keystageのポテンシャルが活用できる状況になると言えます。
KeystageとMIDI2.0で連携するモジュールも発表に
2024年1月19日
KORGよりKeystageとMIDI2.0で連携するモジュール「wavestate」「opsix」「modwave」が発表されました。
これから更に盛り上がっていきそうですね!
Ableton Live 11との連携
上記でも触れましたが、KeystageとAbleton Live 11は非常に密に連携し、非常に快適な音楽制作が約束されます。
これら詳細を確認していきます。
設定について
まずはAbleton Liveで連携に必要な設定を行います。
【環境設定】のコントロールサーフェスからKeystageを選択し、MIDIインプット、アウトプットのチェックボックスをアクティブにします。
これだけでKeystageからトランスポートを含めた様々なコントロールが可能になります。
設定後、Liveに付属するデバイスを起動すると、マクロノブの内容が自動的にKeystage上のノブに表示されます。
サードパーティ製プラグインの場合も簡単です。
プラグインパラメーターをデバイスに追加すると、即座にKeystageに表示されコントロールが可能になります。
他DAWとの連携
Logic, FL Studio, Cubase, Studio One, Digital Performer, Pro Tools, Cakewalk, GarageBandにも対応していますが、使用できる機能に制限があります。
各DAWでコントロールができる内容としてはこのようになっています。
DAWによってコントロールできる内容に差はありますが、Liveのようにノブ下部にパラメーターを表示することはできません。
この点にご注意ください。
Keystageの機能を活用して制作を行う
Keystageには音楽制作をサポートする便利な機能が多数搭載されています。
その中でも、「コード機能」と「アルペジエーター」は特にユニークでお勧めです。
コード機能の設定を行う
コード機能は1つの鍵盤で和音を演奏できます。
「Chordボタン」を点灯させると機能がアクティブになり、「Shift」ボタンと「Chord」ボタンを同時に押すことで設定の変更が行えます。
デフォルトで32種類のプリセットコードセットと、最大32種のユーザーコードセットが用意されており「Value」ノブでプリセットの切り替えが行えます。
ご自身でコード和音の登録を行うにはChordプリセット33以降を使用します。
「C3」から「B3」までの12個の各ノートをコードのルートとして選択し、重ねるノートを8個のノブを使って決定します。
好きなノートを重ねることができるため、楽曲のキーに合わせることができますし、自分好みの和音を作り込める自由度の高さが嬉しいですね。
アルペジエーターの設定
Keystageにはハードウェア内部で動作するアルペジエーターが搭載されており、ボタンひとつでアクティブにできます。
「Shiftキー」を押しながら「Arp」ボタンを点灯させると、8個のノブからアルペジエーターのパラメーターが変更でき、「Page」ボタンで設定項目を切り替えることが可能です。
2ページ目に表示される「pattern」からは、標準的なアルペジオにリズム的な変化を生み出しフレーズ作成時のアイディア出しにも有効です。
アルペジオの各ノートに対して「○」は発音させる箇所「×」は発音させない箇所を表しています。
▶︎パターンを使用したアルペジオフレーズ
さらに「Ratchet」機能は、モジュレーションホイールやポリフォニックアフタータッチなど様々なMIDIコントロール信号をトリガーに、アルペジオの速度を部分的に変更できるユニークな機能です。
「Ratchet Thre」(スレッショルド)はラチェット効果が適用されるしきい値を決定します。
特定のコントローラーの値がこの設定値を超えた場合にラチェット効果が発動します。
「Ratchet Control」ではラチェット効果のコントロールソースを選択できます。
アフタータッチやベロシティ、モジュレーションホイールなど、自由に設定が行え、設定したパラメータが上記のスレッショルドを超えるとラチェットが発動します。
「Ratchet Speed」はラチェット発動時のノートが発音される速度を指定します。
設定は1/1(全音符)から1/128(128分音符)の範囲で行うことができ、その幅は広いです。
速度を早く設定すれば、いわゆる「スタッター」効果を与えることもでき、これら二つの機能を組み合わせることでアルペジオの領域を超えた、フレーズ作成も行えます。
▶︎ラチェットとパターンを併用したフレーズ
ここまでご紹介したMIDI機能は本体内部で処理を行う仕様ですので、楽曲制作時に使用する場合はDAWとBPMを連動させる必要があります。
その他の特徴
その他の特徴として、斜め/水平の角度で取り付け可能な専用拡張プレートが付属しており、タブレットやその他のデバイスを置くことができます。
近年は音楽制作の様々な場面でスマホを活用する方も増えてきたことから、ライブパフォーマンスだけでなく、楽曲制作時にも役立ちます。
Gadgetとの連携
付属ソフト「Gadget Producer Bundle」との連携も確認しておきましょう。
KORG純正のソフトウェアとなっており、特別な設定は不要。USBケーブルを接続するだけで、様々なコントロールを行うことが可能です。
先日リリースされた「KORG Gadget 3」との連携も完璧に行われています!
Keystage上にはGadgetの「シーン名」、「ガジェット名」、「ガジェットのプログラム名」、「グローバルMIDIチャンネル」、「各種ノブ(パラメーター)」が表示され、素早く目的の操作が行えます。
いかがでしたでしょうか?
現時点でKeystageの全機能を活かすことができるDAWは限られいるものの、Ableton Liveにおいては高いレベルの連携が実現されています。
この点は正に次世代のMIDIコントローラーと言える完成度です。
「MIDIコントローラーを使いたいけど設定が面倒」と感じていた方へ強くお勧めしたい製品で、同価格帯の製品と比較しても一歩進んだ体験を得られるでしょう。
「MIDI2.0」プロパティエクスチェンジは現段階で対応するソフトウェアが少ない状態となっています。
しかし、今後対応する製品が増えてくることは間違いなく、将来を見据えた選択として魅力的な製品だと感じました。
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