ギターが弾けなくてもわかる!リアルなギターの打ち込み方【DTM初心者】

Author: sleepfreaks

ギター打ち込みが上達する様々な方法を解説

今回はギターが上手く打ち込めないという方に向けて、バッキングトラックの作り方にポイントを絞り解説を行っていきます。

前半ではギター打ち込みにおける基本的なテクニックや知識、後半では定番のバッキングパターンの作り方に分けて、順を追ってご紹介しますので、参考にしていただければと思います。

UI Standard Guitar
また動画内で使用するギター音源は、無料のエレキギター音源として定評のある【UI Standard Guitar】を使用します。
ギター専用音源をお持ちでない方は是非使用してみてください。
sforzando (Soundfont Player)
UI Standard Guitar ライブラリ

  1. 1基本編 STEP1 和音の重ね方
  2. 2基本編 STEP2 強弱の付け方
  3. 3基本編 STEP3 タイミングのずらし方
  4. 4応用編 STEP1 ストローク奏法の打ち込み方
  5. 5応用編 STEP2 アルペジオ奏法の打ち込み方
  6. 6応用編 STEP3 パワーコードの打ち込み方
  7. 7応用編 STEP4 カッティング奏法の打ち込み方

まず初めにシンプルにコードを入力したものと、これから学んでいく内容を取り入れて入力したコードバッキングを聴いてみましょう。

▶︎シンプルに入力したギターバッキング

▶︎細かなニュアンスを加えたギターバッキング

音色やリズムはどちらも同じ内容ですが、丁寧に打ち込みを行うことでより生演奏に近いニュアンスを加えることができます。

STEP1 和音の重ね方

ギター打ち込みの基本編、STEP1は【ギターらしい和音の重ね方を行う】です。

ギターは楽器としての構造上、各コードにおける音の重ね方(ボイシング)に特徴があり、ギター固有のボイシングというのが存在します。
その再現には、各コードで弦がどのように押さえられているかなど、演奏者と同様の知識を学ぶ必要がありますが、気軽にギターを打ち込みたいという方にはなかなか敷居が高く感じられるでしょう。

そうした方に向けて、ここではより簡単にギターのボイシングを確認できる【Ample Guitar M Lite】という無料のギター音源を使用してみたいと思います。

Strummer
Ample Guitarのギター音源には共通して【Strummer】というギターのコード和音を生成する機能があります。

Strummer2
リストから知りたいコードの番号をクリックするだけで、どの弦のどのフレットを押さえるかを確認でき、また弦を押さえているポイントにカーソルを持っていくと音名も確認することができます。

Strummer3
例えばGメジャーコードを知りたい場合は、8番を選択して押さえている音を1音ずつ確認します。

Strummer4
G1、B2、D2、G2、B2、G3の6音が使用されていることが分かりましたので、あとはこの通りにピアノロールにノートを入力すれば、ギターならではのボイシングを再現することができます。

Strummer5
Strummerのリストに欲しいコードがない場合は、ルートの音やコードのタイプ、押さえ方のバリエーションが変更ができます。

このように、Ample Guitar M Liteでは楽曲に合ったコードのバリエーションを簡単に見つけることができます。

STEP2 強弱の付け方

ギター打ち込みの基本ステップ2は【強弱をつける】です。

ギターに限らず多くの楽器にとって、強弱表現は生演奏を再現する上で最も重要なポイントなので、ぜひ覚えておいてください。

ベロシティ
打ち込みにおける強弱のコントロールは、キーエディター(ピアノロール)下部の「ベロシティ」を使用します。
ベロシティの値を大きくすると、そのノートは強く演奏され、小さくすると弱く演奏されます。

フレーズとしての強弱をつける

まず初めにご紹介するのは【フレーズとしての強弱】の付け方です。

リズムの中で強く発音させたい場所、弱く発音させたい場所をサウンドを聴きながらベロシティの値を調整します。

ベロシティ
この時に、強弱の付け方がわからないという場合は、ドラムのトラックに合わせてキックやスネアが入る箇所をアクセントにすると良いでしょう。

ベロシティ2
また実際のギター演奏では、リズムが細かい箇所では、弱く演奏される傾向があるので、このように16分音符が連続している部分では、ベロシティは低めに設定します。

弦ごとの強弱をつける

続いては弦ごとの強弱の加え方に進めていきます。

ギターで和音を演奏する場合、それぞれの弦で加わる力は均一ではなく、弾き方によって差が生じます。
同じコードを演奏する場合でも、高い音の弦を強調したり、逆に低い音の弦を強調することで、生演奏に近い表現を行うことができます。

ベロシティ3
高い音にアクセントが欲しい箇所では、一番高い音のベロシティを最も高くし、低い音から徐々にベロシティが上がっていくように打ち込み、
低い音にアクセントが欲しい箇所では、一番低い音のベロシティを最も高く、高い音から徐々にベロシティが上がるような形でベロシティを設定します。

この時「どの部分で高い音/低い音を強調すれば良いか分からない」という場合は、ギターをドラムに見立てるとイメージしやすくなります。

ベロシティ4
低い音はバスドラム、高い音はスネアドラムに見立てて、ギターのリズムをドラムに置き換えて考えてみてください。

STEP3 タイミングのずらし方

ギター打ち込みの基本ステップ3は【弦ごとにタイミングをずらす】です。

ギターは和音を演奏した場合、ピアノのように複数の音を同じタイミングで弾くことができず、弦ごとに僅かなズレが生まれます。
上から下に振り下ろす動作で弦を弾くダウンストローク、逆に振り上げる動作で演奏するアップストロークという二つの弾き方があり、それぞれ打ち込み方は異なります。

ダウンストローク
ダウンストロークは低い音から高い音の順に

アップストローク
アップストロークは高い音から低い音の順に入力に演奏されるようタイミングをずらします。

また実際のギター演奏においては、ストローク時のタイミングのズレ方は均一ではなく、演奏する強さにより異なりますので、そこもしっかりと再現すると良いでしょう。

強い力で演奏する場合は手の振りが速くなるのでズレ方を小さく、逆に力を抜いて演奏した場合は手の振りが遅くなるので、ズレを大きくします。

ストロークずれ
先程設定したフレーズとしての強弱を参考に、ベロシティが高めの箇所ではズレを小さくして、ベロシティが低い箇所ではズレを大きめに作ります。
こうすることでさらにリアリティの高い表現を行うことができます。

応用編 STEP1 ストローク奏法の打ち込み方

ここからは応用編として、スタイル別のギターバッキングの作り方を解説します。

ギターのバッキングには、ジャンルや楽曲によって実に様々な演奏スタイルがあり、それぞれで打ち込みにおけるポイントも変わります。
今回は一般的によく耳にする定番の奏法を厳選してご紹介していきたいと思います。

ストローク奏法

まず最初にご紹介するのは、ダウンストローク、アップストロークを使用して和音を演奏する【ストローク奏法】です。

ギターの弾き語りや、ポップス全般など幅広いジャンルで使用される定番のスタイルです。
またアコースティックギター/エレキギターを問わず使用されるので、ギターバッキングの基本奏法と言えます。

前半の解説で打ち込んだ内容はこのストローク奏法ですが、改めてどのようなサウンドか確認してみましょう。

▶︎ストローク奏法によるコードバッキング

ストローク奏法
特徴としては16音符のグリッドの1、3、5個目の奇数の箇所ではダウンストローク、偶数の箇所ではアップストロークで入力している点です。

打ち込みの手順を細かく見ていきましょう。
まず演奏させたいリズムパターンの中で最も細かい音の長さでグリッドを表示させます。

ストロークグリッド
このケースでは16分音符が最も細かいリズムですので、ここではグリッド設定を【1/16】とします。

ダウンアップ
次にダウンストローク、アップストロークの順番で全てのグリッドに対して交互に演奏させます。

ストロークノートを削除
ここから不要なノートを削除してイメージするバッキングのパターンに近づけていきます。

パターンの作り方がわからないという場合は、基本的にキックとスネアが打たれている箇所は残し、ドラムとリンクさせることで安定感のあるリズムパターンが作れます。

ストローク隙間を埋める
そしてノートを伸ばして、隙間になっている部分を埋めます。

ストローク調整後
あとは前半編で解説を行ったフレーズとしての強弱、弦ごとの強弱、ストロークのスピードを設定すれば完成です。

コードの切り替えを再現する

ここまでで基本的なストローク奏法の打ち込みが完成しましたが、更にもう一つ取り入れると、よりリアリティを高めることができるポイントがあります。

ギターは楽器の構造上コードが変わる時には弦を押さえている指を一度離し、次のコードを押さえ直す動作を行い演奏しますので、この間で僅かに音切れが発生します。

ストロークコードチェンジ
この特徴は、コードが切り替わる直前のノートを短くするだけで簡単に再現ができます。
どの位隙間を開けるかは、実際のギター演奏においては演奏者の熟練度によっても変わってきます。
サウンドを聴きながら、音が切れすぎて違和感が出ないよう調整すると良いでしょう。

コードチェンジのリアリティを出すには、「フレットノイズ」と呼ばれる効果音を追加するテクニックも有効です。
インストゥルメントによっては出来ない場合もありますが、より実際の演奏に近いニュアンスを出すことができます。

フレットノイズ

UI Standard Guitarの場合は【D#-1】のノートを入力することで、フレットノイズのサウンドが演奏されます。
実際の演奏では全てのコード切り替え時にフレットノイズが発生するわけではありませんが、打ち込みではとりあえず入れておいても良いでしょう。

応用編 STEP2 アルペジオ奏法の打ち込み方

次にご紹介するのは、【アルペジオ奏法】というコード構成音を1音ずつ分解して発音させる奏法です。

▶︎アルペジオによるコードバッキング

こちらもエレキギター、アコースティックギター両方でよく使用される定番の奏法です。

アルペジオ
デモ音源で入力した内容ををみてみると、先ほどのストローク奏法で演奏している和音を一音ずつ入力しています。

アルペジオ2
定番のパターンとしては、一番最初はルートの音を入力して、アクセントにしたいポイントでは最も高い音を入力するものが多く使用されます。
一定のリズムパターンを繰り返した方が、伴奏としての安定感が増すためおすすめです。

ストロークと比較して音圧が少なく繊細な表現ができることから、メインのバッキングとして使用する場合は静かなセクションとの相性が良い奏法です。

応用編 STEP3 パワーコードの打ち込み方

パワーコードはルートと5度の2種類の音だけを鳴らす奏法で、ロック系ジャンルでは定番中の定番です。
ブリッジミュート(Palm Mute)という、弦を弾く側の手でミュートする奏法を織り交ぜながら、リズムの抑揚を作るパターンもロックでは頻出します。

▶︎パワーコードによるコードバッキング

▶︎ブリッジミュートを併用したコードバッキング

High Gain Amp

特に強く歪んだ(Hi Gain)サウンドとの相性が抜群です。
音数が少なくても十分重厚ですし、歪むと倍音が複雑になるため、3度やセブンスなどの複雑なボイシングを全て鳴らすと、音が濁って聞こえてしまうためです。

パワーコード
打ち込み方はコードのルート音の上に5度の音を重ねるのみと非常にシンプルで、ロックやメタルなどのジャンルでは、低いピッチで演奏されることが多いです。

パワーコードDS
ダウン/アップの選択は、リズムに安定感を出しキレを良くするため、ダウンストロークを中心に入力すると良いでしょう。

ブリッジミュートを併用したパターン

パワーコードににブリッジミュートを織り交ぜてみましょう。

ブリッジミュート
インストゥルメントによっては再現できないものもありますが、UI Standard Guitarではキースイッチ【D#0】を入力すると、その際に発音されているノートがブリッジミュートに変化します。
また【C0】を入力すると通常のサステイン奏法に切り替わるため、この二つを切り替えることでメリハリのあるバッキングを作ることができます。

スライド奏法を使用したパターン

パワーコードの演奏では、コードからコードへ切り替わる際に【スライド奏法】が頻出します。

スライド奏法
特に次のコードのピッチが上がる場面で勢いをつけたり、滑らかにコードを繋ぐ目的で使用されます。

スライド奏法は弦楽器ならではの表現ですので、打ち込みで再現することで更に生演奏さながらの表現に近づけることができます。

ピッチベンド
ここではピッチベンドというピッチを上げ下げする機能を使用して、このスライド奏法を再現するテクニックをご紹介します。

まずはじめにピッチベンドが最大値、また最小値になった場合に、どのくらいピッチが変化するのかをインストゥルメント側の設定を行う必要があります。

PB Range
UI Standard Guitarではウィンドウ右上の【PB Range】がそれに該当しますので、【12】と入力し、ピッチベンドを最大/最小値にした時、1オクターブ(12半音)分ピッチが変化するように設定します。

その上でピッチベンド情報を書き込んでいきます。

Guitar Pitchbend
今回はGからDにコードが上がる箇所でピッチを滑らかに繋ぐ目的で、6半音分ピッチベンドを上昇させるように書き込みます。

ピッチベンド2
フレットレスギターを除けば、通常のギターはフレットを上下すると半音単位でピッチが変わる特徴を持っているため、図のように半音単位で階段状にカーブを描く必要があります。

多くのDAWではピッチベンドの値は-8192~+8191の範囲で設定を行うため、1半音のピッチを上げ下げするには、ピッチベンドの値をいくつ変化させるかを知っておく必要があります。

今回のように最大値で12半音に設定している場合は、8191を12で割ると682.583333ですから、1半音分のピッチベンドの値は四捨五入して683です。

ピッチベンド_001

Guitar Pitch9
6半音上げる場合は図の通りに入力します。

もし使用しているDAWがCubaseの場合、細かな数値の入力を必要とせず半音ごとにピッチを変更できる機能が備わっています。

スライド奏法の有無をサウンドで確認してみましょう。

▶︎スライド奏法あり

▶︎スライド奏法なし

応用編 STEP4 カッティング奏法の打ち込み方

カッティングは、ブラッシング(左手で弦をミュートしながらストラムする)を織り交ぜながらコードをリズミカルに演奏する奏法です。

ファンクに代表される16ビート系のノリが良い楽曲で使用され、細かなリズムニュアンスを楽曲に加えたい場合に適しています。

▶︎カッティング奏法

一見するとストローク奏法とよく似ていますが、より高いピッチかつ少ない和音で演奏されていること、またブラッシング(ミュート)奏法が併用されている部分に違いがあります。

まずはじめに弦の押さえ方から確認していきます。

カッティング3

通常カッティングではフレットポジションが高いコードが使用されるという特徴があります。

カッティング4
まずAmple GuitarのStrummerを使って、ポジション設定の番号を2から3(高いポジション)にした時のコードの中から好きなものを選びます。

次に演奏する弦を選びます。
カッティングは基本的に軽快なリズムニュアンス表現する奏法なので、太い側の弦はリズムが重く感じられる点からあまり使用されない傾向にあります。

カッティング2
コード構成が低音弦(太い弦)を含むものであっても、高音弦(細い弦)を中心に3〜4本程度のみを演奏することがおすすめです。

カッティング5
高さと弦の数が決まったら、ひとまずノートを打ち込んでいきます。

それに対して、カッティング奏法の重要な要素、ブラッシング(ミュート奏法)を入力します。
パワーコードのブリッジミュートとは違い、カッティングで使用では弦を押さえる指で行うミュート奏法を使用します。

カッティング6
UI Standardギターでは【B-1】のキーでブラッシング奏法(Mute Fret)に切り替えができます。
コード感とアクセントを鳴らしたい箇所ではC1のサステイン、パーカッシブな隙間のリズムを鳴らしたい箇所ではB-1のブラッシング奏法、といった具合にバランス良く織り交ぜ、リズムに抑揚をつけます。


以上、今回はギターの打ち込みテクニックについて解説しました。
ギター含め生楽器には多くの奏法が存在し、よりリアリティの高い打ち込みを行うには、楽器や奏法に対する知識と、適切な使用が必要となってきます。
今回多くのテクニックを紹介しましたが、全てをすぐに取り入れることは大変ですので、一つずつ実践してみてください。習得できれば、かなり生演奏の表現に近づけることできます。




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