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【ミックステクニック】リバーブ処理が違うと楽曲のサウンドはどのくらい変わる?講師3人のリバーブ処理を徹底比較

講師3名が同じ素材を使用してリバーブを適用

空間

音楽制作やミキシングにおいて、空間を表現するリバーブは極めて重要と言われています。
ただ、本当に大きな差が生まれるの?と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ここではトラック構成はもちろん、ボリュームやパンも固定した全く同じ素材を用意し、3人の弊社講師がそれぞれリバーブを処理を行った楽曲を比較していきます。
もちろん各講師が実際に行ったリバーブの考え方やテクニックも併せて紹介。
リバーブの奥深いアプローチをお楽しみください!

リバーブ処理 テクニック動画

リバーブを適用する元楽曲

まずは一度リバーブを使用する前のミックスを聞いてみましょう。

どのようなコンセプトでリバーブを使用しているか

それぞれの素材をどのように考えるのかでミキシングの結果は大きく変わります。

ここでは3名の講師がそれぞれどのようなコンセプトを元にリバーブを適用したのかを解説し、実際に処理後のサウンドをお聞きいただきます。

講師加藤のケース

加藤

楽曲の雰囲気から、J-POPをベースとし、その中にローファイ感やダンスミュージックのニュアンスを感じ取ったので、楽曲の持ち味を素直に演出することをコンセプトにしました。
過度な演出よりも楽曲に自然な空気感を生み出せるよう意識しています。


宮川

どのようなリバーブプラグインを使用しましたか?


加藤

Neoverbで自然な奥行きや空間を広げる演出をし、ボーカルにはLexicon224やEMT140といった王道リバーブを再現したUADプラグインを使用しています。

講師松下のケース

松下

EDM系ジャンルを基にした音像をJ-POPに取り入れることをコンセプトにしました。

またリズムの輪郭を立たせ、ダンスミュージックらしいサウンドに仕上げるため
「キックベースに対してはノンリバーブ」
「ボーカルやシンセには深いリバーブ」
とコントラストをはっきりと感じさせるミックスにしています。

宮川

どのようなリバーブプラグインを使用しましたか?

松下

EDMジャンルで人気のリバーブValhalla DSP社の製品を複数使用しています。

講師宮川のケース

宮川

ミディアムテンポながら、ダンス的なノリを感じる楽曲ですので、極力グルーヴを壊さないよう自然な奥行き感やサウンドのワイド感を加えるイメージに仕上げることをコンセプトにしました。

 

加藤

プラグインはどのような製品を使っていますか?

宮川

使用したリバーブプラグインはSeventh HeavenというBRICASTI DESIGN M7という実機を再現した製品のみを使用しました。
最近気に入っているプラグインで、今回はこの1製品のみでのみでミックスを行ってみるというチャレンジ的な意味合いも含めています。

リズムパートの処理

まずはリズムパートで3名の講師がどのような処理を行ったのか解説します。

加藤の処理内容(J-POPコンセプト)

加藤

今回はキックに対してもリバーブを使用しており、楽曲への馴染むサウンドを作りを行っています。


加藤

リバーブ設定としては、僅かに深さを持った残響を得たかった為、Neoverbでホール寄りのサウンドを選択しています。

宮川

キック以外のリズムパートはどのような処理を行っていますか?


加藤

リバーブ設定としては、同様に僅かに深さを持った残響を得たかったので、ここでもNeoverbを使用しました。
ホールメインとリフレクションのブレンドですが、適度な奥行きや広がりを演出することを目的に小・中規模のホール設定にしています。

宮川

リバーブはインサートとセンドどちらを使用していますか?

加藤

原音が持つ輪郭を残す目的で、低音の響きを抑え輪郭を残すようセンドでリバーブを適用しています。
センドを使用することでリバーブ成分のみに対して、エフェクトを適用することができるので、細かな響きのコントロールを行いたいというトラックに対してはセンドを使用します。

宮川

具体的なリバーブの設定についてポイントはありますか?

加藤

プリディレイを若干遅めに設定し、リバーブのサウンドに対してEQで低音域をカットしています。
これによりキックに重なる帯域に不要な成分が重なり、キックに濁りが出ないよう処理を行っています。

▶︎リズムパート全体のリバーブ
A : Off / B : On

松下の処理内容(EDMコンセプト)

松下

リズムのトラックは常に前面でしっかりと鳴り、楽曲の土台となって欲しいという目的でキックにはリバーブは使用せず、他リズムパートは楽曲全体で広い空間で響くような演出をしました。




松下

キック以外のリズムパートでは「Valhalla Roomで奥行きと広がり」、「H-Delayでリズムの拡張」、「EQで低域の重みをカット」という3つの処理を行っています。

宮川

設定におけるポイントはありますか?

松下

原音のアタックをしっかりと聴かせることを目的にリバーブのプリディレイは大きめに設定し、長めのピンポンディレイでハイハットの音像を広げている部分がポイントです。
そして低音域が響きすぎて濁らないようリバーブのサウンドに対しEQでカットしている部分も重要です。

▶︎リズムパート全体のリバーブ
A : Off / B : On

ベースへのリバーブ

宮川の処理内容(Seventh Heaven)

宮川

ベースの音像を広げ楽曲全体のスペースを埋めること、そして低音域の反響を利用してより重みのあるサウンドに仕上げたいと考えました。


宮川

リバーブの内容はベース向けのアンビプリセットでベースの存在感を強調していますが、過度にブーミーにならないよう内蔵EQによりローミッドを調整を行いました。
ベースへのリバーブは過度な適用によってダイナミックレンジが損なってしまい、定位が不明瞭になるなどのリスクがあるので、そこを抑制する目的もあります。

▶︎ベースのリバーブ
A : Off / B : On

ボーカルへのリバーブ

加藤の処理内容(J-POPコンセプト)

加藤

ボーカルでは原音とリバーブ成分を個別にコントロールする目的で、センドでリバーブを使用しています。


加藤

拡散しすぎずに奥行きを加える目的でプレートリバーブを使用しています。
「Decayを約1.7秒」、「PreDelayを25ms」という割と標準的な設定を行っており、このリバーブ成分にEQで低音域から中低音域を抑えボーカルのタイトさを損なわないようなサウンドに仕上げました。

▶︎ボーカルリバーブ
A : Off / B : On

松下の処理内容(EDMコンセプト)

松下

メインボーカルではEDMらしい豊かなリバーブを作る目的で、何種類のリバーブやディレイを使用し複合的に響きを作っています。
ですが、深い響きは原音が聴き取りにくくなり、特にボーカルのようなメインのトラックでは、その明瞭性が失われることで、役割を果たすことが難しくなってしまいます。

松下

この問題を解消するために原音をトリガーにして、リバーブ成分に対しサイドチェインコンプを適用し、原音のレベルが上がる箇所ではリバーブの音量を抑えることで長い残響を残しながらもボーカル自体の輪郭をぼかさないよう処理をしています。

宮川

その他にはどのような処理を行っていますか?

松下

他のトラック同様ですが、長めのリバーブほどプリディレイを大きく設定し原音に対しタイミングを離す処理を行っています。
また余韻を延ばす用途では、リバーブよりもディレイのフィードバックを活用して、拡散された響きではなくはっきりと聞き取ることができる余韻を加えています。

▶︎ボーカルリバーブ
A : Off / B : On

コードシンセへのリバーブ

宮川の処理内容(Seventh Heaven)

宮川

コードのトラックは装飾的な役割として使用し、リズムトラックやボーカルを対比として明確に奥でなっている音像感を作りたいと考え処理を行いました。

宮川

ポイントとしてはインサートでリバーブを使用しWet成分を高めに設定、Chamberリバーブを選択し、初期反射で輪郭をぼかし、残響を長めの響きを加えています。

松下

Chamberリバーブを選択した理由はなんですか?

宮川

長い残響という部分ではプレートと迷いましたが、プレートにはない初期反射音による定位の広がりが欲しかったことからChamberを選択しました。

▶︎コードシンセのリバーブ
A : Off / B : On



いかがでしたでしょうか?
皆様はどのリバーブ処理が好みでしたか?

仕上がりはそれぞれ異なりましたが、共通した考え方に基づいた処理も多くありましたね。
特にビギナーの方にとっては参考になるテクニックも多くあると思いますので、ぜひご活用いただけますと幸いです。

記事の担当 宮川 智希/Tomoki Miyakawa

宮川 智希

15歳でシンセサイザーの魅力に惹かれDTMを始める。
20歳よりサポートキーボーディストとして大久保伸隆氏(Something Else)を始め多くのステージで活動する傍ら、活動拠点を制作へとシフトする。

その後、音楽制作ユニットL75-3を結成し、同人、商業両面で音楽作家として活動を開始。

2013年より声優原由実氏への楽曲提供を皮切りに、永井朋弥氏(+Plus)楽曲で編曲、映画での劇伴制作、イベント内でのBGM制作と様々な制作の現場に携わる。

同人活動ではVocaloidを用いた楽曲を使用し、“Twilight of Small Planet”がニコニコ動画カテゴリーランキング5位を記録。

その他、docomo Xperia feat. HATSUNE MIKU内オフシャルコンテンツや東京IT新聞などのメディアに掲載される。

講師のプロフィールを読む

記事の担当 加藤 裕一/Uichi Kato

20歳の時に突拍子もなくベースを始め、大学のゴスペルサークルで演奏のイロハを体当たりで学ぶ。

同時期にアーティストのレコーディングやライブサポートを開始し、幅広いジャンルの音楽・人と触れる。

歌のメロディーを生かすベースラインとグルーヴィーなプレイに定評があり、国内外問わず精力的に活動中。

楽曲の演奏をしていく中で編曲(アレンジ)にも興味を持ち、アレンジャーとしても活動を始め、ジャンルを問わず様々な楽曲のアレンジを行う。

その他、ベース講師やDTMレクチャー、レコーディングスタジオ運営など幅を広げて精力的に活動中。

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記事の担当 松下 真也/Shinya Matsushita

18歳から独学で作曲/DTMを学び始め、洋楽やK-POPなどのダンスミュージックに強く影響を受ける。
これをきっかけとして、音楽文化の急成長が見込める韓国へ留学。

韓国から帰国後、2年の独学期間を経て日本の音楽事務所に所属。音楽プロデューサーを担当し、多数の経験と実績を積む。

2021年に大手音楽事務所へ移籍。Dance Pop/Trap/UK Drillなどグローバルトレンドを網羅したサウンドを武器として多数のアーティストへ楽曲提供を果たす。

その後に独立を果たし、株式会社Bill's Houseを設立。
ボーカルレコーディングスタジオを経営しながら、ビートメイク/レコーディング/ミックスなど音楽活動を精力的に行なっている。

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