DTM部屋を調音してサウンドモニタリングの質を向上させる VicStudio Box
音楽制作時の判断をより的確に行うために
DTMでは「楽器の選択/フレーズ作成/音作り/録音/ミキシング」など、多くの判断と決定を行いながら作品を完成させます。
そして、これらを行う際に大切になるのがサウンドモニタリング環境です。
モニタリングをしっかり行うことができない環境では、場面に応じた判断を適切に行うことができず、作品の意図がユーザーに伝わりにくくなる、サウンドクオリティが下がってしまうという可能性が高くなってしまいます。
そのため楽曲制作を行なう際には、この判断基準をしっかりと整えて正確にモニタリングできる環境構築が必要となります。
今回はサウンドモニタリング環境を
VicStudio Box 設定動画
Vicousticと製品について
Vicoustic(ビコースティック)はDTM機材としては珍しいポルトガルのブランドで、吸音/拡散/遮音/防音設備を整えるための製品を多数リリースしています。
美しいデザインも大きな特徴で、制作部屋やコンセプトに合わせてチョイスできる多彩なカラーバリエーションも用意されています。
もちろん、デザインだけではなく製品の質にも定評があり、世界中のプロ、Hi-Fi Audioファンに愛用されています。
また、シアタールームにも数多く導入されているという実績もあります。
VicStudio Boxの特徴
VicStudio Boxは部屋の音響を調整することを目的とした「吸音・拡散」を行います。
中高域に対してある程度の防音(遮音)効果はありますが、目的はあくまで「音響調整」となる点がポイントです。
部屋の状況やスピーカー/リスニング位置にもよりますが、主に3つの効果が期待できます。
- 1.初期反射による影響の低減
- 2.残響による影響の低減
- 3.音場の異常の改善
これらによって直接音/反射音のバランス、音像定位、特定の周波数での異常な鳴りを正常な状態にして、より正しい「再生音」に近づけることができます。
また音の漏れや入り込みを防ぎたいという場合は、2022年度グッドデザイン賞も受賞した防音ブース「VicBooth」シリーズが用意されています。
VicStudio Boxの設置
製品の設置はスピーカー/リスニングの位置に依存しますが、主に3つのポイントがあげられます。
- 1.初期反射が起こる位置 : リスニング位置から見て左右側壁、前面壁、天井など
- 2.後期反射が起こる位置 : リスニング位置から見て後方壁
- 3.定在波(部屋の特定位置で発生する音量のムラ)の制御 : 部屋の4隅
賃貸物件にお住まいの場合でも、面ファスナー(ベルクロ)を使ってパネルを設置することが可能です。
この方法は動画にて詳しく解説しています。
VicStudio Boxを設置したサウンド比較
実際に設置前/後のサウンドを比較してみましょう。
まずは声(ボーカルラップ)のみを収録したサウンドです。
- ラップサウンド 設置前(Before)
- ラップサウンド 設置後(After)
ショートディレイのような残響が大きく軽減され、輪郭がハッキリしていることが確認できます。
次に楽曲全体の2MIXサウンドです。
- 2MIXサウンド 設置前(Before)
- 2MIXサウンド 設置後(After)
かなりの差が出ました。
特に低域のもたつきが大きく改善されています。
これにより各トラックのミキシングバランスも大きく変わってくるのではないかと感じました。
いかがでしたでしょうか?
予想よりも簡単に自身の部屋のモニタリング環境を整えられる点に驚きました。
その効果を高く、意味のある改善と思います。
今回はセットの「VicStudioBox」を使用しましたが、好みの製品を2枚から購入できる「トライアルパック」の販売も始まりました。
価格を抑えて製品を導入・体験することができます。
スピーカー、その他の機器に問題が無いにも関わらず、サウンドバランスの違和感、音像定位の異常(左右の偏りやボケた感じ)、特定の周波数が異常に鳴る(耳障りな反響や音量のムラなど)などを感じる方はぜひチェックしてみてください!