DTMのための「ハードディスクダイエット計画」 完全ガイド
HDD容量やファイル管理を見直して制作環境を最適化する
ここではDTMのための「ハードディスクダイエット計画」として音楽制作をより快適に行うためのハードディスク整理術を解説していきます。
最近のパソコンモデルはシステムハードディスクに「SSD」規格が採用されているモデルが増えています。
パソコンの価格を抑えるためにSSDの容量が256GB以下というモデルもありますが、これはDTMを行なっている皆さんにとってかなり少なく感じるかと思います。
ハードディスク空き容量が少なくなると、ソフトのパフォーマンス低下・途中で制作が中断してしまうリスクもあり、良いことは1つもありません。
ここではハードディスク容量をしっかりと確保するための考え方・整理テクニックを徹底解説していきます。
DTMのための「ハードディスクダイエット計画」 完全ガイド
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◆ DTM目線で検証 「外付けストレージ」導入のポイント 2020年版
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◆ シンボリックリンクでHDDのファイル容量を賢く管理
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ファイルの種類と管理
内蔵ストレージの容量を削減するためには、ファイルを適切に扱うための考え方が重要となります。
ここでは
- 1.メインとなる内蔵ストレージ
- 2.高速な外付けストレージ
- 3.バックアップ用のストレージ
これら3つハードディスクがあることを前提として進めます。
1.メインとなる内蔵ストレージ
最も高速なストレージとなる内蔵に格納しておくべきファイルは下記のようなものです。
- ファイル容量が小さく数が少ないファイル(DAWのプロジェクトファイルも含む)
- アプリケーションやプラグインファイル(容量が軽く、移動すると不具合が出る可能性がある)
- 外付けストレージを繋がなくても最低限の作業が行えるファイル(メール/エクセルファイルなど)
2.高速な外付けストレージ
この高速な外付けHDDに格納しておくべきファイルは下記のようなものです。
- 容量が大きいが素早く読み込みたいファイル(DTM音源の音色)
- 動画ファイル
ソフトシンセのサウンドライブラリを「高速な外付けストレージ」に保存しておくメリットは他にもあります。
パソコンの買い替え/クリーンインストールの際、サウンドライブラリのダウンロード/インストールが不要となり、ソフトシンセ本体のみインストールを行えばセットアップが完了するという点です。
3.バックアップ用のストレージ
- 容量が大きいが使用頻度が低いファイル(バックアップファイル)
- 1つのファイル容量は小さいが数が多いファイル(iTunes楽曲など)
転送速度は速くないが、安価で購入できるという特徴を活かします。
ファイルへのアクセスが少ないバックアップファイルや、1つのファイル容量が小さいiTunes楽曲を大量に格納しておくという使い方に向いています。
ご覧いただいたように扱うファイルがどのタイプに分類されるのか?を把握することが大切です。
この考え方でファイルを移動/管理を行なっていきましょう。
DTMのためにHDDの整理を実践
それでは実際にどのようにしてシステムHDDをダイエットしていくのか?を具体的に解説していきます。
ソフトシンセ系のサウンドを整理する
DAWに付属するループサンプルや、ソフトシンセのサウンドライブラリ(音色)はハードディスクの容量をかなり消費してしまいます。
DAWやプラグイン自体は「1.メインのシステムHDD」へインストールし、容量が大きいサウンドライブラリを「2.高速な外付けストレージ」に保存するという方法が王道です。
例えば、DAWソフト「Logic Pro X」は約60GBのサウンドライブラリがありますが、これを他のHDDヘ移動することができるようになっています。
Cubaseもアプリケーションの「Steinberg Library Manager」からサウンドライブラリを移動できるようになっています。
同じくStudio Oneもサウンドライブラリの場所を指定可能です。
次にサードパーティーのプラグイン/音源も確認してみましょう。
大人気のNative Instruments社のサウンドも全てインストール先を指定可能です。
Spectrasonics系の製品は、サウンドライブラリを「2.高速な外付けストレージ」へコピーして、内蔵ストレージから元ファイルを削除できます。
初回ソフト起動時に移動先のフォルダを指定することで、サウンドライブラリの移行が完了します。
大容量サンプルのドラム音源「BFD」も同じ要領で移動・管理が可能で、多くのソフト音源がこの方法に対応しています。
シンボリックリンクを使用してサウンドライブラリを管理する
インストール時にサウンドライブラリの場所を指定できない製品(V-Collectionなど)は、サウンドライブラリを他のストレージにコピーしたとしても、読み込み場所の指定を行えないケースが多いです。
この場合、下記で解説する「シンボリックリンク」を使用することで解決可能です。
内蔵ストレージのサウンドライブラリを、外付けストレージから読み込ませます。
ターミナルがうまく機能しない場合は?
Mac10.14以降では、セキュリティの強化により、ターミナルの実行が行えない場合があります。
解消方法は下記となります。
システム環境設定→「セキュリティとプライバシー」を選択します。
「フルディスクアクセス」タブを選択し「+」ボタンから「ターミナル」を追加します。
ターミナルは「アプリケーション」→「ユーティリティ」の中に格納されています。
シンボリックリンクによってエラーが出てしまう場合は?
シンボリックリンクがうまく機能しなくなった。
またはプラグインのアップデートでエラーが出てしまう。という場合の対処方法です。
外付けストレージにコピーしてあるファイル本体を内蔵ストレージに戻します。
この段階で、シンボリックリンクを行っていない通常の状態に戻ることになります。
この状態でアップデートを行います。
アップデート後に外付けストレージへファイルをコピーして再度、シンボリックリンクを設定します。
iPhone/iPadなどバックアップの保存先を変更する
内蔵ストレージの容量を圧迫する項目として「iPhone/iPad」を忘れてはいけません。
場合によっては全体のファイル容量が100GB以上となる場合もありますので、必ずチェックしましょう。
これらは頻繁に呼び出しを行う必要がない「バックアップファイル」となりますので「3.バックアップ用のストレージ」へ移動することになります。
バックアップファイルは「ユーザー名」→「Library」→「Application Support」→「MobileSync」の中に「Backup」フォルダとして格納されます。
しかし、この「Backup」フォルダを「3.バックアップ用のストレージ」へそのままコピーしたとしても、上記プラグイン音源のように機能しません。
ここでも「シンボリックリンク」を使用します。
このシンボリックリンクを使用することで、以後のバックアップは「バックアップ用のストレージ」へ保存されます。
iTunes(Music)/iPhoto(写真)のライブラリ
iTunesやiPhotoの容量も無視できません。
これらは1つ1つのファイル容量が小さいため、「3.バックアップ用のストレージ」に保存する形が良いでしょう。
これらはユーザーフォルダの中に格納されています。
「ミュージック」は音楽、「ピクチャ」は画像ファイルが保存されています。
これらフォルダの中にある、iTunes(Music)の場合は「iTunes」または「Music」フォルダ。
iPhoto(写真)の場合は「Photos Library.photoslibrary」フォルダを「3.バックアップ用のストレージ」へコピーします。
コピーした音楽/写真を読み込む方法は同様となります。
Optionキー(WindowsはAltキー)を押しながらソフトを起動します。
「ライブラリを選択」からコピー先(3.バックアップ用のストレージ)のライブラリを読み込むだけです。
iPhoto(写真)の場合は、環境設定の「一般」タブから「システムフォトライブラリとして使用」を選択することで、iCloudとの同期も行えるようになります。
いかがでしたでしょうか?
これらの設定をしっかりと行っておくとファイル管理の精度・効率が圧倒的に上がります。
是非、このセッティングをご参考にしていただき、快適なDTM・楽曲制作を行っていただけますと幸いです。
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