ダイアトニックコードをローマ数字に置き換えて覚える(ディグリーネーム)/音楽理論講座
理論を実践に活かすための準備
今回は、コードを”ローマ数字(ディグリーネーム)に置き換える”方法を学んでいきます。
ダイアトニックコードをより身近にし、楽曲の解析などに役立つ知識となりますので、
しっかり身につけておきましょう。
音楽理論を学んだらぜひ行っていただきたいのが、楽曲の解析です。
普段聴く曲で「かっこいい」「気持ちいい」等と思える部分に出会ったら、そこを解析し、
自分のコード進行の引き出しとして取り入れていくことができます。
必ず楽曲制作に活用できるようになりますので、一歩一歩学んでいきましょう。
解説に使用する表は、下記URLよりダウンロード可能です。
学習にお役立ていただければ幸いです。
https://sleepfreaks-dtm.com/music/Major_Diatonic_Triad.zip
※訂正:初回投稿時に表に「A♭」が抜けていたため、追記したものをアップロードしました。(2016/10/28)
ダイアトニックコードの法則性に注目する
ここまでダイアトニックコードについて詳しく学んできましたが、
改めて、各キーのメジャー・ダイアトニックコード (三和音)の一覧表を見てみましょう。
これらを丸覚えすることは非常に大変です。
しかし、ここまでで各キーのメジャースケールを理解していれば、
今回の”ローマ数字に置き換える”方法ですぐに把握できるようになります。
コードをローマ数字に置き換えたものを「ディグリーネーム」あるいは「コードディグリー」と言います。
直訳すると、「度」です。調の中のコードの度数を相対的に表すことができます。
最大のポイントは、ダイアトニックコードはどんなキーで作り上げた際も、
スケールに沿ってコードの性質の並びが同じだということです。
このように、いずれも
メジャー、マイナー、マイナー、メジャー、メジャー、マイナー、ディミニッシュ(トライアド)
の並びになっていることがお分かりいただけると思います。
また、メジャー/マイナー/ディミニッシュの回で学んだように、DAW上であれば平行移動して簡単に作ることができます。
この法則性に注目し、各スケールの度数をローマ数字に置き換えて覚えてしまおうというわけです。
スケールに沿ってローマ数字を振る
使うローマ数字は、以下のような表記になります。
スケールの始まりの音から順番にローマ数字を振っていきます。
ここからダイアトニックコードを作りましょう。手順は17回目に掲載した通りです。
合わせて、ローマ数字の隣に各コードの性質を付記していきます。
出来上がりです。
このローマ数字の箇所に各メジャースケールの音を入れるだけで、
メジャーのダイアトニックコード(3和音)を網羅できるということになります。
- ディグリーネームの記述法は、メジャーの横に「△」をつけたり、マイナーは小文字(「ⅲ」等)で示すなど、様々な表記法があります。本講座では上記の記述で統一します。
ディグリーネームの活用
スケールの置き換えを、Key=Fメジャーで試してみましょう。
ここまでの学習内容を活かせば、非常に簡単ですね。
ちなみに、それぞれの呼び名は以下の通りです。
- I =ワン・メジャー
- IIm = トゥー・マイナー
- IIIm = スリー・マイナー
- IV = フォー・メジャー
- V = ファイブ・メジャー
- VIm = シックス・マイナー
- VIIdim = セブン・ディミニッシュ(トライアド)
最後に、ローマ数字ありのメジャーダイアトニックコード(三和音)一覧表を載せておきます。
ぜひ、ご利用ください(リンク先を保存で大きいファイルを取得できます)。
※訂正:初回投稿時に表に「A♭」が抜けていたため、追記したものをアップロードしました。(2016/10/28)
次回はこのディグリーネームを活かして、簡単な解析や、転調、また有名なコード進行を学んだり
といった、更に踏み込んだ使い方に入っていきます。
ぜひ今回の内容をマスターしておいてください。
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記事の担当 伊藤 和馬/ Kazuma Itoh
18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。 バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
その技術を活かし、POPSから映像音楽まで、幅広い作曲活動を行っている。