UAD Shadow Hills Mastering Compressorの実力

Author: sleepfreaks

プレミアムコンプレッサーのサウンドを忠実に再現

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UADの魅力に迫るシリーズ第4回目となりますが、今回はShadow Hills Mastering Compressor(以下SHMC)という製品を取り上げたいと思います。
その名の通り、Shadow Hills社製のマスタリング向けコンプレッサーをプラグイン化したものです。
実機が100万円以上もするため中々お目にかかれない機材ですが、それに見合った実力や出音の良さに定評があります。
それをUADが緻密なシミュレーションでプラグイン化したということで、注目を集めた製品です。

まずは、マスターにかけるとどのような出音の変化があるのか、サンプルをご用意しましたので、一度お聞きください。

master

いかがでしょうか?
程よくアナログの風味が加えられ、音圧感が増すとともに、奥行きや広がりも感じられる仕上がりになっていますね。
まさにマスタリング用という感じで、他では代用できないキャラクターを持っています。

UAD Shadow Hills Mastering Compressorの実力


Shadow Hills Mastering Compressorの構造

それでは、SHMCがどのようなコンプレッサーなのか、その構造を見ていきましょう。

SHMC_Stereo

ステレオコンプのため左右対称の構造となっています。
ステレオで操作するかマルチモノで操作するかは、中央のスイッチで切り替えることができ、ステレオを選択すると、左側での操作が右チャンネルにも(ツマミの動きは追従しませんが)反映されます。

上段、大きな2つのノブで構成されているのが、オプティカルコンプレッサー(オプトコンプ)です。

opt

オプトコンプで有名なのはLA-2Aですが、それと同じようにアタックやリリースの設定はなく、スレッショルドとゲインでシンプルに構成されています。

下段部分はディスクリートと名付けられていますが、タイプとしてはVCAタイプのコンプレッサーです。

discrete

SSLのバスコンプなどに代表される、マスタリングに適したタイプのコンプですね。
こちらはアタック、リリース、レシオなどの細かい設定が可能です。

この2つのコンプを二段がけすることもできますし、どちらか一方をかけるということもできます。
オンオフはそれぞれのIN/OUTスイッチで行います。

そして3つ目の大事なセクションが、出力トランスの切り替えです。

trans

このNICKEL、STEEL、IRONの選択によって、それぞれ違うビンテージアナログ機材独特のサウンドを加えることができます。

  • NICKEL:歪みが最も少なく、超高域に繊細なアクセントを加えます。
  • IRON:ニッケルよりもわかりやすくハーモニック・ディストーションを加え、低域をブーストします。
  • STEEL:最もアナログ風の歪み効果が大きく、低域をタイトかつ強めにブーストします。

前掲のサンプル音源(マスターコンプ)のセッティングは、オプティカル+ディスクリートの二段がけ、そして出力トランスはクリーンなニッケルを選択しています。

メーターについても解説しておきましょう。

meter

この2つのメーターはそれぞれ表示項目を切り替えることができます。
それぞれオプティカルのゲインリダクション、ディスクリートのゲインリダクション、アウトプットレベルの3つが用意されている形です。
今回は二段がけなので、両方のゲインリダクションを見れるよう、左がオプティカル、右がディスクリートのゲインリダクションとしています。

最後にもう一つ、ポイントとなるのがサイドチェインスイッチです。

sidechain

このサイドチェインは外部の信号を受けるものではなく、入力の90Hz以下にフィルターをかけて低域にコンプが反応しないようにするものです。
バスドラムに反応してポンピングが起きる場合や、低域のダイナミクスをより残したい場合などに使用するといいでしょう。

様々な活用方法

このSHMCは名前のせいでマスタリング用途に絞ったものと思われがちですが、他にも色々な使い方をすることができます。
2つほど例をご紹介しておきます。

ボーカルへの適用

vocal

オプティカルコンプレッサーは自然なコンプレッションが特徴なので、もともとボーカル向きですし、また出力トランスをエンハンサー的に使って存在感を増すといったこともできます。今回は分かりやすいようにスチールを選択してみました。

いかがでしょうか?音像がぐっと前に出てきて、かつ心地よい出音になりましたね。

ドラムバスへの適用

drumbus

ディスクリートVCAコンプで設定を追い込んでいけば、深めにかけてドラムのイメージをガラッと変えていくこともできます。

レシオ6というちょっと強めの設定としてありますが、余韻にもちゃんと奥行きがあり、適度にモッチリとしたサウンドになりましたね。

このように、コンプレッサーに必要な要素が一通り備わっている点もこのコンプの特徴です。
そして何より出音が本当に心地よく、どんな素材にもかけたくなってしまいますね。
ぜひこのプレミアムなサウンドを、UADで手軽に体感してみてください。


記事の担当 大鶴 暢彦/Nobuhiko Otsuru

Sleepfreaks DTM講師 大鶴 暢彦
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