UAD MANLEY Massive Passive イコライザーの実力

Author: sleepfreaks

驚異的な透明感と音楽的な効き方を備えたEQ

manley_massive_passive

UADの魅力に迫るシリーズ第3回目となりますが、今回はイコライザーのプラグイン「MANLEY MASSIVE PASSIVE」を取り上げたいと思います。

ここまで、アナログをシミュレートしたプラグインは独特の味があるというお話をしてきましたが、実はこのMASSIVE PASSIVEはある意味その逆で、効き方が非常に自然だというのが特徴です。
EQは音を加工する目的のエフェクトなので変化するのは当然ですが、MASSIVE PASSIVEは大きくゲインを変化させてもバランスが崩れず、あくまで音楽的な効き方するのです。
このような効き方は特にマスタリングやボーカルのトリートメントなどに向いています。

ここで一旦、マスターに対してMASSIVE PASSIVEによるイコライジングを施す前と後をお聴きください。

mp_setting

中域から高域にかけてはやや大きめにブーストさせていますが、バランスが崩れていないのがわかると思います。
各パラメーターの効き方や操作の詳細については、動画内で詳しく触れていますので、併せてご覧下さい。

UAD MANLEY Massive Passive イコライザーの実力


オールパッシブ回路によるプレミアムな機器をプラグイン化

Massive Passiveはなぜこんなにも自然な効き方をするのかーそれを紐解くには、その名前にある「Passive(パッシブ)」という言葉がキーワードになります。

パッシブとはイコライザーの回路の種類で、非常に繊細で自然な効き方をするのが特徴ですが、部品が高価だったり、組み込みに高い技術を要するため、機材全体も高価になる傾向があります。
MASSIVE PASSIVEは全てのバンドでパッシブ回路を採用しており、実機では60万円前後と、中々個人では手を出しにくい価格帯ですね。

これまでお話ししてきた通り、UADプラグインは実機の回路や動作を徹底的にシミュレートしているのがウリです。
別途DSPハードウェアは必要になりますが、実機に限りなく近いプラグインが3万円前後で手に入るというのは、かなり嬉しいことだと思います。

通常バージョンとマスタリングバージョンの2種類を選択可能

  • 通常バージョン

normal

  • マスタリングバージョン

mastering

実機のMASSIVE PASSIVEには通常バージョンとマスタリングバージョンが存在しますが、UADプラグインにはその2つがパッケージされており、選択して使用することができます。
その違いは、各バンドゲインの最大値が通常バージョンは20db、マスタリングバージョンは11dbでダイヤル式となっている点や、ハイパスとローパスの設定値も若干異なっており、マスタリングバージョンの方がよりハイエンド・ローエンドともに深めに設定されています。

今回の記事・動画では、マスタリングEQのプロセスをお見せしたいため、以後はマスタリングバージョンを使用します。

各パラメーターの詳細

mp_parameter

①左右のチャンネルのリンクを設定します(デフォルトはオン)。
②各バンドのブースト/カット、シェルフ/ベルの切り替えを行います。
③各バンドのブースト/カットの量を設定します。②の設定によりブースト/カットいずれかに設定され、右に回すほどその量が増加します。
④各バンドのQ(カーブの角度や形状)を設定します。
⑤各バンドの周波数(ベルの場合は頂点、シェルフの場合エッジ)を設定します。

その他、中央の青く囲んだ部分には左右チャンネルのゲイン、ハイパス、ローパスのツマミがあり、リンクをオンにしておけば左右連動して設定されます。

④のQについては下図のように変化します。ベル型の場合はQの値によって最大値が変動し、シェルフ型ではQを上げるとエッジ付近に逆方向へのカーブが設定されます。

q

イコライジングの特徴

Massive Passiveによるイコライジングの特徴については、ぜひ動画をご覧の上実感していただきたいのですが、特にハイミッドの帯域にはよくそれが表れています。
以下に、同じような設定としたDAW付属EQとの比較(ハイミッドのみ入れ替え)をご用意しましたので、聴き比べてみてください。


マスタリングとしては強めのブーストとしていますが、ある意味DAW付属EQは聞き慣れた変化で、やはりバランスが崩れている感が否めません。
一方でMassive Passiveは、変化しながらもバランスを保っており、これぞ”音楽的”と言える効き方です。マスタリング段階でクリエイティブなサウンドメイクが出来そうですね。

以上Massive Passiveの実力に迫ってみましたが、いかがだったでしょうか?
個人的には、Massive Passiveは他では得られないイコライジング体験をもたらしてくれるEQで、ミキシングやマスタリングのプロセスを大きく変える可能性も秘めていると感じました。
ご興味を持たれた方は、ぜひお試し下さい。


記事の担当 大鶴 暢彦/Nobuhiko Otsuru

Sleepfreaks DTM講師 大鶴 暢彦
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